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編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

ウェブも電子書籍もDVDもCDも編集しちゃうよでもいちばん仕事多いのはけっきょく紙

女子大生が大仏次郎という固有名詞を語っているだけで胸熱

30年前に非売品として少部数製作された Album Jiro Osaragi って写真集を持っている程度()には 筋金入りの大仏次郎ファンの私が大仏次郎記念館のホームページを久々に見に行ったら、大仏次郎の生き方(大仏スピリット)に感動した女子大生4人が企画する社会課…

鞍馬天狗全作品レビュー完了の記 付・作品年表

夏休みの自由研究に 鞍馬天狗の全47作にレビューつけていこうず。 と思い立った時点で未読作品がけっこうあったので ゴールまでの道は小学生の自由研究並みには険しいものでした。 終って覚える解放感は これでようやく鞍馬天狗以外の本が読める というはな…

1.鬼面の老女

初出:1924年ポケット 参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一) 時代設定:1862年3月 「戌三月」 (幕末で十二支が戌の西暦は1862年) 中公文庫(時代小説英雄列伝)叢書の1冊として刊行されている 「鞍馬天狗」は編者・縄田一男による長文解説も充実…

2.銀煙管

初出:1924年ポケット 参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一) 時代設定:1863年6月 「その後まもなく、西郷吉之助が国へ帰って月照と薩摩潟に投身した」 「近藤勇が入京したという噂がある」 「京の町の家々の甍を濡らしていた五月雨が、思いがけず…

3.女郎蜘蛛

初出:1924年ポケット 参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一) 時代設定:1863年7月 「その後、新撰組の近藤はどうしている」 (結成間もない新撰組のイメージと「1.鬼面の老女」からの整合性を図って1863年) 「朝夕などの空の冴えた具合は七月の末…

4.女人地獄

初出:1924年ポケット 参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一) 時代設定:1867年9月 「名月までにはまだ幾日か間はあったが、初秋らしく」 (「5.影法師」との連続性に鑑みて1867年)作者がタイトルの「女人地獄」にどの程度の意図を込めたか まった…

5.影法師

初出:1924年ポケット 参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一) 時代設定:1867年9月 「いったい、今日は幾日だと思っていなさる」「八月の二十日だろう」...「そりゃ、昨日だぜ」 「王政復古の大号令が遠からず出るのじゃ」 (旧暦8月は新暦9月)最…

6.刺青

初出:1924年ポケット 参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一) 時代設定:1867年10月 「もう、とっくに御承知でしょうが例の御札騒ぎです。 祇園の祭がすむかすまないかに始まったんですから、なんでも夏ごろの話ですが」 「前の月も押し詰まった二…

7.鬘下地

初出:1924年ポケット 参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一) 時代設定:1867年11月 「明るい中にうら冷たい秋の日射が往来を照らしていた」 (「6.刺青」「8.香りの秘密」との連続性により1867年と推定) 鞍馬天狗シリーズ初期の8編はなにかと扱わ…

8.香りの秘密

初出:1924年ポケット 参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一) 時代設定:1867年12月 「京を出て約半月」 「朝から曇ってはいたが冬のことで」 (「7.鬘下地」「9.御用盗異聞」との連続性により1867年と推定) そのときである。なんともいえない芳い…

9.御用盗異聞

初出:1925年ポケット 参照:朝日文庫版(2)(1981年12月、解説橋本治) 時代設定:1867年12月 「年内といっても、師走も二十日を過ぎたいま」 (「8.香りの秘密」からの連続性により1867年と推定) 幕府。えらい。 俺たち。しょぼい。 というマインドコントロ…

10.小鳥を飼う武士

初出:1926年ポケット 参照:朝日文庫版(3)(1981年12月、解説室謙二) 時代設定:1868年1月 「この一月十二日の朝も、昨日と同じく空は凍てた霧に曇って」 (「9.御用盗異聞」からの連続性により1868年と推定) 鞍馬天狗シリーズ各作品にはそれぞれ定番の解題…

11.角兵衛獅子

初出:1927〜28年少年倶楽部 参照:朝日文庫版(4)(1981年10月、解説小野耕世) 時代設定:1865年3月 「ついおとといの晩は、壬生のお屋敷へ、そいつが、たった一人で斬り込んだというぜ」 (新撰組屯所が壬生から西本願寺に移るのは1865年3月) 「二本松の薩…

12.鞍馬天狗余燼

初出:1927〜28年週刊朝日 中公決定版(4)(1951年11月) 時代設定:1868年5〜8月 「さて、この慶應四年五月、江戸は二色に分けられていた」 最も初期に発表された大仏次郎評伝 「大仏次郎−その精神の冒険」(1977)で 著者の村上光彦は 1927年7月24日、睡眠薬自…

13.剣侠閃光陣

初出:1928年文藝倶楽部 参照:初出誌 時代設定:1863年3月 「文久三年の弥生七日、都を春の花が飾って人の心が浮き立っている頃である」 大仏次郎研究会のホームページをはじめ 本作の初出は1928年文藝倶楽部、4月号から9月号。連載回数6回。 とされている…

14.山嶽党奇談

初出:1928〜30年少年倶楽部 参照:朝日文庫版(5)(1981年10月、解説鶴見俊輔) 時代設定:1865年4月 「空が晴れてさえいれば明るい月の姿が見えるはずの、 あたたかな四月のある晩のことでした」 (次作「15.青銅鬼」に「この前の話の山嶽党を退治して」とあ…

15.青銅鬼

初出:1931年少年倶楽部 参照:国書刊行会復刻版(1985年1月) 時代設定:1865年7月 「今、私たちの味方は実にひどい目にあわされている。京都から遠くへ逃げた者は助かったが、そうでなく、ここに残っている者は、ほとんど皆つかまったり斬られたりしてしまっ…

16.天狗廻状

初出:1931〜32年報知新聞 参照:朝日文庫版(7)(1981年10月、解説村上光彦) 時代設定:1864年6月 「家老の福原越後が兵を率いて三田尻を出たそうではないか」 「例の鞍馬天狗という奴が、やはり京へ戻って来ておる...京へ帰って来たのが、昨日の早朝だ」 本…

17.地獄の門

初出:1934年講談倶楽部 参照:朝日文庫版(9)(1981年11月、解説小林司・東山あかね) 時代設定:1865年5月 「前の年の蛤御門の一戦で、長州藩の勢力が京から失われてから」 (蛤御門の戦いは1864年) 「どこかで鶯が啼いていました。谷間で竹の葉がそよぎ、風が…

18.宗十郎頭巾

初出:1935年講談倶楽部 参照:ちくま日本文学全集(38)(1992年8月、解説鎌田慧) 時代設定:1864年6月 「どちらさまでございますね? あんた方」「屋敷か?」「へえ」「河原町の長州だ」 (1864年8月、蛤御門の戦で消失する前) 「季節はもう梅雨にはいって」 …

19.雪の雲母坂

初出:1935年講談倶楽部 参照:朝日文庫版(4)(1981年10月、解説小野耕世) 時代設定:1863年3月 「芹沢は卑怯にもこの場に出て来なかった」 (芹沢鴨は1863年2月上洛、10月没) 「雪になるのじゃないか...ひどく底冷えする」 茨城から京都に出てきたのが2月下旬…

20.江戸日記

初出:1934〜35年新愛知新聞、福岡日日新聞ほか 参照:徳間文庫版上下巻(1989年2月、解説南原幹雄) 時代設定:1866年3〜9月 「海軍のことは、勝安房が一手でやっておるので」 (軍艦奉行に勝が再任されるのは1866年) 「春とは申せ、まだ水の冷たいのはお気の…

21.御存知鞍馬天狗

初出:1936〜37年オール讀物 参照:朝日文庫版(9)(1981年11月、解説小林司・東山あかね) 時代設定:1865年6〜7月 「前の年の夏、蛤御門の戦に敗れて桂も乞食に身をやつして亡命したのだが」 (蛤御門の戦いは1864年) 「ただでさえ暗い夜道に、やがて梅雨が来…

22.幕末侠勇伝

初出:1936年少年倶楽部 参照:少年小説大系第4巻大佛次郎集(1986年2月) 時代設定:1864年8月 「久坂も寺島も重傷を受けて火中で自害致した」 (蛤御門の戦は1864年8月20日) 「杉坊、大変だ! 起きろよ。戦争だぞ」 「え!」 本作が発表された1936年は2.26事…

23.江戸の夕映

初出:1940年週刊朝日 参照:朝日文庫版(10)(1981年11月、解説なだいなだ) 時代設定:1868年4月〜5月 「江戸城の明け渡しがすみ、西軍が御府内にはいってからというもの」 (江戸城の無血開城は1868年4月11日) 「うむ、いまのは湯島台だ。不忍ノ池越しに撃っ…

24.西国道中記

初出:1941年週刊朝日 参照:中公決定版(11)(1951年11月) 時代設定:1866年8月 「将軍が先月二十日に大阪で薨去して」 (徳川家茂は1866年7月20日、大阪で病没) フィクションではもっぱらイイ感じに描かれることが多い勝海舟ですが (というか佐々木譲が悪く…

25.薩摩の使者

初出:1941年週刊朝日 参照:中公決定版(12)(1951年12月) 時代設定:1868年3月 「西郷はもう駿府に出て来ているというじゃないか?」 (駿府城で山岡鉄舟が西郷隆盛と面談したのが1868年3月8日) 舞台が横浜だったり 勝海舟がぷりぷり怒ってたり どうせ俺は英…

26.天狗倒し

初出:1943年週刊朝日 参照:中公全集(7)(1969年9月) 時代設定:1862年8月 「文久二年の八月二十一日のことであった。」鞍馬天狗を生麦事件にこういう形で登場させる、という 企画そのもので勝ったも同然ですよ! と個人的に興奮してしまう作品なのですが ま…

27.鞍馬の火祭り

初出:1944年毎日新聞 参照:徳間文庫版(1988年10月、解説三國一郎) 時代設定:1865年4月〜10月 「前の夏、蛤御門の戦争の時」 (蛤御門の一戦は1864年8月) 「半年ばかり鞍馬天狗はこの寺に姿を見せませんでした」 (鞍馬寺の火祭は10月) 生麦事件を扱った連作…

28.鞍馬天狗敗れず

初出:1945年同盟通信社配信(岐阜合同新聞、東奥日報、北日本新聞、佐賀新聞) 参照:未知谷刊単行本(2009年9月、解説内海孝) 時代設定:1863年4月 「幕府が、いよいよ英吉利の要求どおり償金を払うことになったそうではありませんか」 (1863年5月2日、支払い…

29.新東京絵図

初出:1947〜48年苦楽 参照:徳間文庫版(1990年5月、解説都筑道夫) 時代設定:1869年7月 「江戸が東京と改められたのが、前の年、明治元年の今時分、七月のことだった」 国営企業が独占していた事業に ベンチャー企業が敢然と戦いを挑みました。 到底勝ち目…

30.紅梅白梅

初出:1950年少年クラブ春の増刊 参照:初出誌 時代設定:1864?年2月 「新撰組に追われているのだ。きかれても、だれもこなかったといってくれ。」というなり、地面に身をふせて、草の中をはうようにして、逃げていく...まだ若い武士 「梁川先生のお宅でお目…

31.海道記

初出:1951年オール読物1月号 参照:朝日文庫版(10)(1981年11月、解説なだいなだ) 時代設定:1869年10月 「府中を改めて静岡となっていたが、東京を離れてここまで来ると、まだ新しい明治の匂いはない」 (=改称は1869年7月) 「庭にある木犀の花のかおりが、…

32.拾い上げた女

初出:1951年オール読物4月号 参照:中公決定版(11)(1951年11月) 時代設定:1869年5月 「明治二年の晩春の夜になってからのことである」 鞍馬天狗シリーズというものの 作者にとっての始まりは 読み切りの軽い1編として世に出したもので。 というのは有名な…

33.淀の川舟

初出:1951年オール読物6月〜7月号 参照:朝日文庫版(8)(1981年11月、解説佐藤忠男) 時代設定:1865年11月 「こんど出来た四番隊の隊長で、庄田玄一郎さまという方」 (=人名は架空だが新撰組の組織再編は1865年4月) 「よく晴れた晩秋の空に銀砂を撒いたよう…

34.風とともに

初出:1951年オール読物8月号 参照:中公決定版(11)(1951年11月) 時代設定:1868年1月 一旦京をひき払って大阪へ退いた幕府の軍が続々と、京へ向って上って来る (=鳥羽伏見の戦いは1868年1月3日に開戦) 「暮の疲れもあるし、元日二日の廓の夜は静かになるも…

35.一夜の出来事

初出:1952年オール讀物8月号 参照:初出誌 時代設定:1867年12月 「この慶應三年十二月の江戸では」全面抗争を決意した薩摩藩が 直接・間接不問で 江戸の治安を乱す行為を繰り返し 遂に堪忍袋の緒を切らした庄内藩が薩摩藩邸を焼き討ち。 という展開は時代…

36.青面夜叉

初出:1952〜53年サンデー毎日 参照:毎日新聞社版単行本(1953年6月) 時代設定:1865年2月 「鞍馬天狗先生は、一度、深い御恩になった...別れて以来、先生は私には苦労して探しても、つかまらぬ」 (=「17.地獄の門」以来、是枝七郎左衛門が再登場) 「京に悪…

37.雁のたより

初出:1953年サンデー毎日 参照:朝日文庫版(6)(1981年10月、解説高橋章子) 時代設定:1864年3〜5月 「鞍馬天狗は、京にいては身辺が危うくなって江戸にのがれてきた」 「都の花見なら彼は知っている。江戸に来て見ると...」 「旦那」と、屋形の外から船頭が…

38.紅葉山荘

初出:1954年オール讀物2月号 参照:初出誌 時代設定:1865年10月 「ここのところ新撰組は、何も仕出来すことなく、ねむっていたようなものなのだから」 (=新撰組の1864年は池田屋事件、禁門の変など多忙) 「壬生に出入するように成ってから彼は鞍馬天狗と…

39.夕立の武士

初出:1954〜55年サンデー毎日 参照:徳間文庫版(1989年9月、解説石井冨士弥) 時代設定:1864年3月 桂小五郎の愛人だった幾松が、遅れて、たったいま、外からはいって来たところだった (=1864年、禁門の変以前) 「八分ばかり咲いた桜の花を見上げて」 比較…

40.影の如く

初出:1955〜56年サンデー毎日 参照:中公全集(9)(1961年1月) 時代設定:1864年3月 河原町の長州藩邸に、鞍馬天狗が顔を見せたのは、久しぶりのことだった。 (=禁門の変で長州藩邸が消失するのは1864年8月) 「竹の子が出てやがる。」 目的のためには手段を…

41.夜の客

初出:1957年サンデー毎日 参照:中公全集(6)(1960年10月) 時代設定:1864年2月 桂小五郎が愛人の幾松の酌で酒を飲んでいる席に鞍馬天狗が姿を見せたのは、それから小半刻ばかり後であった。 (=1864年、禁門の変以前) 「どうも新撰組も、ひところにくらべる…

42.女郎蜘蛛

初出:1957年サンデー毎日 参照:朝日文庫版(8)(1981年11月、解説佐藤忠男) 時代設定:1866年3月 「母屋には誰もいないらしく見えます。これは藩侯が江戸に出ているお供をして主人が不在の...」 (=播磨龍野藩のスタンスが第一次、第二次長州征討間で 佐幕か…

43.深川物語

初出:1957〜59年家の光 参照:中公全集(9)(1961年1月) 時代設定:1866年10月 「城主は、老中となって江戸に出ていたのでしたが、伊賀伊勢三十二万石の政治は、城代家老が中心になって、平穏におさめているわけでした」 (=藩主藤堂家から老中は出ておらず、…

44.黒い手型

初出:1958年週刊明星 参照:中公文庫「時代小説英雄列伝 鞍馬天狗」(2002年9月、縄田一男編) 時代設定:1864年10月 「近ごろは長州も薩州もご公儀のご威勢があるから、以前より控え目になって...」 (=文久の政変が1863年) 「十日ばかりの秋の月が」 「どこ…

45.天狗が出た

初出:1958年日本経済新聞 参照:日経新聞縮刷版 時代設定:1864年10月 「その浪人者は鞍馬天狗という名を名乗って、おかみをおそれずに京都の町に出ては、大胆なことをするので新撰組や見廻組のだんながたが...」 (=見廻組の発足は1864年4月。1865年秋は「…

46.西海道中記

初出:1958年週刊明星 参照:朝日文庫版(10)(1981年11月、解説なだいなだ)・中公全集(9) 時代設定:1865年10月 「実は、薩州との密約の草案が、こちらで話が出来たので、至急に国の方にやって同意を求めたい」(=薩長同盟の締結は1866年3月) 「都では紅葉…

47.地獄太平記

初出:1965年河北新報ほか 参照:徳間文庫版上下巻(1988年12月、解説磯貝勝太郎) 時代設定:1865年3月〜1866年6月 「川向うに、製鉄所とかが出来るそうでチムネが立ちました」(=横浜製鉄所開設は1865年8月) 「藤はようやく枝に芽をつけたばかり」 牢獄から…

フリーランスとして生きる@幕末

1943年に週刊朝日で連載された「天狗倒し」 および 1945年6月〜10月に東奥日報、佐賀新聞ほか地方紙で連載された 「鞍馬天狗敗れず」 という2作品は 生麦事件(1862年8月)直後からのおよそ半年間の横浜を フリーランスのジャーナリストを追うことで 浮き彫り…