編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

ウェブも電子書籍もDVDもCDも編集しちゃうよでもいちばん仕事多いのはけっきょく紙

ほぼ2ヶ月ぶりに映画を見て(「僕らのミライへ逆回転」)スウェーデンを想う

エンターテイメントの消費者らしく
omaeなにさま? 的にエラそな言い方をするならば
ミシェル・ゴンドリー監督の作品はえてして
眼が高く手が低い、といいますか
狙いはカッコイイんだけど
残念ながら肝心の作品の仕上げがヌルいんじゃなくて。
という傾向あって
去年公開された映画「僕らのミライへ逆回転」も
その例に漏れない……のですが、私個人の感想としては

詰めが甘くてもいいじゃん。
作品そのものが足りない部分は観客の俺が補って見るし!

なにもここまで持って回った言い方しなくても
「おもしろかったですー」
ってことなんですけど。


まじめな青年が働くおんぼろレンタルビデオ店。
店長に留守を任されたが、幼なじみのトラブルメイカーのせいで
商品のVHSビデオが全てダメになってしまう。
あわててダンボールや廃材を使って
ゴーストバスターズ」や「ラッシュアワー2」を
自主制作リメイクすることで急場をしのぐのだが
オリジナルとは似ても似つかないチープな手作りビデオが評判を呼び、
2人は町の住人たちを巻き込んで
ハリウッドの名作、ヒット作を勝手に次々リメイクしはじめる……

なにこれ、こんなもんをマジでオマエら
ゴーストバスターズ」って言い張る気?
と詰め寄られたときに口走った
"Sweded"(スウェーデンもんでんねん)
という造語が既に
「手作りハリウッド映画」を指すことばとして市民権を得ている、なんて
不覚にもまったく存じ上げませず。
へー。と、検索していくと、P2Pに興味ないからって
あまりにも知らないでいたこと多すぎ俺。

・スウェーデン国家がファイル共有を擁護する方針であったことは事実
・しかし3ヶ月前の4月、「違法ファイル共有ユーザーの追跡を認める」法律施行
・6月には「知的財産制度の改革を訴える」海賊党(!)が欧州議会で1議席獲得
・7月には最大のBitTorrentサイト運営社がソフトウェア企業に買収されている
云々。世の中は確実に動いているのでありました。

映画の話からどんどん逸れていきますが
・個人的には「コンテンツには正当な対価を支払いたい」、なぜなら
・コンテンツがクリエイトされる環境を破壊することで、
エンターテイメントコンテンツを享受できなくなったら俺が弱る

その昔「貸しレコード屋」なるものが生まれたときに
利用しない、と言い張ったのも
動画共有サイトを利用しないのも
欲しければ買うし。
と思っているからで……ここまでは一貫しているんですね。
でも
図書館とか古本屋とかレンタルDVDとかは
利用するんでしょ、そこは矛盾してないわけ? と
詰められたことはありますですハイ。

一応、自分のなかでの落としどころは
「エンターテイメントに費やす予算が無限にあるわけではない」のだから

・著作権者に還元される図書館とかレンタルDVDの利用はいいよね?
・古書店利用は「そもそもの値付けがおかしいだろ」という気分と
(だから“自分なりに思う正当な価格”は払って購入している、という言い分)
決して新刊で買わないと言っているわけじゃなくて
そのうち買うこともあるんだから、ここはひとつ
著者・出版社各位は古書店を
新規ユーザーへの販促橋頭堡だと思っていただけませんか
(と弱気だかなんだかわかんない弁)

……何の話でしたっけ。
ああ、ミシェル・ゴンドリー
この作品の面白さは
・リメイクばっかやってるハリウッドへの皮肉
・オマージュと盗作の境界って何
など、観客がテーマを自分なりに立てて
それへの回答を自分なりに出すことで
作品世界が完結する、という
「きっかけ」になりうる点ではないかと思いました。

観客の数だけの「正解」が存在する案件だけに
映画そのものの主張が(誰から見ても)ヌルくなってしまうのは
その意味、必然。

ジャック・ブラック好きとしても
彼のウザい特性(そうか、フットボールアワー岩尾に近いな)
が堪能できて、おなかいっぱいになりました。げぷぷ。