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編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

ウェブも電子書籍もDVDもCDも編集しちゃうよでもいちばん仕事多いのはけっきょく紙

映画「サマーウォーズ」は41歳♂の心のスイッチもONにするのだ

映画


ピタゴラスイッチとか
お父さんスイッチとか
スイッチにもいろいろありますけど
比較的最近、気になっているのは
インターネット・スイッチです。

「何やってんの」
「インターネット見てます」
「どうやって見るの?」
「んー(説明面倒だな)」
「スイッチ入れるの?」
「そうね、だいたいそんな感じ」
「インターネット・スイッチ、オン!」
「……叫ばなくてもいいです」

みたいなやりとりを6歳児と交してからというもの
水木一郎先生の
パイルダーオン!
的な口調で
インターネット・スイッチ、オン!
が流行しているという <どこで

そんな今年の夏の終わりは
映画「サマーウォーズ」。

となりのトトロ」には
宮崎駿が埋め込んだスイッチがありましたでしょ。
一度もあんな家に住んだ経験ないのに
一度もあんな夜の闇に立った経験ないのに
あるいは
お父さんは大学の先生じゃないしお母さんもぜんぜん病弱じゃない。
でも“懐かしい”と
つい、思わせるスイッチ。

サマーウォーズ」にも
そんなスイッチが埋まっていて
数学オリンピックに出れそうなアタマがなくても
格闘ゲームで無敵と呼ばれるテクニックがなくても
ネットにアバターを持った経験がなくても
家長ということばがふさわしい年長者を身内に持ったことがなくても
“あー。あるある”または
“わー。わかるう”と
つい、思わせるスイッチ。

そういう「スイッチ付き作品」がうみだす感動は
作品単独のしわざではなく
作品を見てスイッチを踏んだ/押したアナタ
と作品の共同制作によるものでして

つまり、作品をきっかけに
あなたの体内(だか脳内だか)に埋め込まれている
それまでの“経験”が掘り起こされて
そのことで、あなたの心は揺れ動く。
……だから英語で「感動した」というときに
movingという単語を使うんだねー < 俺ちょっとイイコト言ったふう

映画のキャッチコピーは

「つながり」こそが、ボクらの武器

というそうで
ここで意図されているのは
同時代に生きている人と人の
横のつながり
のことだと思うのですが
私はむしろ、縦のつながり
を強く意識させられました。

たとえば「サマーウォーズ」クライマックスは
「ドラゴンボール」の元気玉シーンをほうふつとさせる、
それは「ドラゴンボール」を知っているからこそ
「あ」
と思うわけですが、
それは決して気持ち悪いものではない。
なぜなら
カラダの奥のほうにあって、しばらく忘れていた
あのとき抱いた感激が
いま、「サマーウォーズ」によってよみがえるから。

どんなに優れた作品も
製作著作にクレジットされているクリエイターの才能が
単独で生むものではない。
少なくとも、
サマーウォーズ」は
先行するあらゆるエンターテイメント作品への敬意と
それに続いていこうという、
「つながる」意志を感じさせる、
実にすがすがしい作品でありました。

送り手と受け手、双方に
「つながりたい」という意識がないと、
決してオンにならないもの・なのに
多くの観客の「エンターテイメントを愛する者スイッチ」が
作品を見始めてすぐにオンになるのは
ある意味、必然でありましょう。