編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

ウェブも電子書籍もDVDもCDも編集しちゃうよでもいちばん仕事多いのはけっきょく紙

それは読者の仕事じゃないよ。


Googleブックプロジェクト賛成を表明している
数少ない作家、佐々木譲。

まもなく公開される映画「笑う警官」etc.の
“警察小説”によって読者になった私からすると
キャリア30年の大ベテラン作家
日本冒険小説協会「大賞受賞」なんと3度!)
ということがそもそも驚きだったのですが
このほど復刊された「愚か者の盟約」(1991)のジャンルが
ポリティカル・フィクションというところも相当意外で。
転載自由を表明している本人ブログから、遠慮なく引用。
09.5.16「政治的想像力をめぐる問題」

1990年ころ、リアルなポリティカル・フィクションを書きたくて、勉強と取材を続けていた。政権交代がなるかならないかをクライマックスのサスペンスとする物語の構想だった。(中略)刊行時も、たぶん一般的には、ありえない話としてしか評価されなかったのだろう。
しかし刊行からちょうど二年後、自民党は分裂、社会党との連立による細川政権が誕生した。評論家の高野孟氏は、テレビ番組で拙作を取り上げ、「この事態を予言した小説があったんです」と紹介してくれたという。

今回はハヤカワ文庫としての刊行なのですが(親本は講談社)
そして、帯にも
  政権交代か?新党結成だ!
  現代日本の混乱までも“予見”した、
  迫真のポリティカル・サスペンス!
という文字が躍るとおり、
まさに時宜を得た復刊企画ではあるのですが
(読んでいたら消費税導入前後の
与党によるファシズム等がまざまざと思い出されて)

なにしろ“迫真”であればあるだけ
「小説で書かれたことを、どれだけ現実が模倣していったか」を
知りたくなるわけです。
なのに……解説が無いんですよ!
せめて政治年表を巻末につけるぐらいの
サービスはあってもバチは当たらんのじゃないか。
そこは読者の仕事じゃなくて、編集者の仕事じゃねーのか、と。
もうね、それが残念で。

仕方が無いので
いしいひさいちの「問題外論」シリーズでも読み返そうかと思います。