編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

ウェブも電子書籍もDVDもCDも編集しちゃうよでもいちばん仕事多いのはけっきょく紙

「収縮する旧来型出版ビジネスを乗り越えるために」


ひとさまのエントリー
http://www2.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=173280&log=20091027
経由で覗いてみたらけっこう面白かったよ。
A coming new obsession: how to handle a smaller print-book business
旧来型出版から電子出版への変化はもはや確定事項だとして
そんななか我々アメリカ出版界はどうすべきなのだろう。
とでもいうようなエントリー。
http://www.idealog.com/blog/a-coming-new-obsession-how-to-handle-a-smaller-print-book-business

興味深かった主張は
・電子出版時代の覇権を握るのはNo.1ビューワの開発社ではなく
・No.1プラットフォームの構築社になるだろう
iTunesでソフト販売ポータルを0から作り出した実績から、当然Appleが。
・と類推するのが妥当なのだろうが、しかしAppleのやる気が伝わってこないっていうね
というところ。なのですが、
それよりも気になったのは
電子出版システムを開発しているらしいイギリス人の付けていたコメント。

Right now, the number one paid-app in the UK iPhone app store is by Jamie Oliver, who is surely one of the top 5 most valuable authors in our market. His app costs £4.99 and, from what I can see, is nothing to do with his book publishers (I invite correction on that point). He made it himself, a la Radiohead. The future that Mike talks about in this article, where top authors go direct, is here today. Jamie Oliver = No.1 author, no.1 app, no book publisher. Of course he'll carry on publishing books - his publisher does a great job - but maybe 20 years from now people will see this as a turning point. I don't believe that his book publisher's would turn down his next work simply because he made an app out of it first.

イギリス国内で最も影響力がある著者といえる、ジェイミー・オリヴァー(料理人ですな)が出版社を通さずに電子書籍を刊行していて(頒価は750円程度)これはひょっとすると、あ、あれが出版界のコンテンツ流通におけるターニングポイントだった。と後から思い出すことになる出来事かもしれん。云々。


今野敏の旧作を新古書店でまとめ買いしたときに思ったのは
「版元在庫切れ」商品が流通する場として
出版業界の中に、新古書店のポジションを明確に定めることで
売り上げを著作権者に戻す仕組みを作るべき……てな議論は
これまでにもされているし
現実にBOOK OFF出資組の懸案事項でもあるのだろうけれど
別に「業界全体の仕組みづくり」を待つ必要はなく
そういうネットショップを作っちゃえばいいんだよな、ということ。

電子出版ビジネスをちまちまと進めていくなかで
もっぱら「コンテンツ展開」について重点をおいて考えてきていたけど
「プラットフォーム」についても真剣に考えるべきですなー。

などなど、なかなか有意義なテキストでありました。