編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

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怖いよー永井するみ「欲しい」


日曜18:30に「サザエさん」。という習慣を失って久しい私は
日曜デイタイムはTVで競馬ウォッチ。という習慣も
徐々にではありますが、薄れつつあって
だから、その日U局の競馬中継を見ていたのも
そして裏番組のザッピングをしていたのも
悪夢のような偶然が重なり合ってのことなのですが
去る6月、CXザ・ノンフィクション枠でOAされた
「漂流家族 竹下家の9年間」(の前編)は
リアルタイムで目撃しておりました。

あまりといえばあまりの内容に
翌週の後編OAを見る勇気がもてなかったのですが
結局ネットでも相当な盛り上がりをみせたこの番組、
さまざまなブログエントリーに
きっちり内容が再現されていることもあって
http://d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI/20090705
まあ、もう、おなかいっぱいっす。かんべんしてください。

という、思い出したくもなかった(ほめてます)
テレビ番組が頭をよぎったのは
永井するみの「欲しい」を読んだから。

優也と一緒に面白おかしく暮らす。
ありさの願いは、ただそれだけ。
(中略)
金のために朝から晩まで働く? 考えただけで気分が悪くなる。ありさ自身も働きたくなかったし、優也にも働いてほしくなかった。二人でいられる時間が減ってしまうのがいやだった。

私たち(とあえて複数形を使いますが)が
彼ら(含、竹下家の両親)に抱く感情でいちばん近いのは
まったく理解できない教義を信じている宗徒を見るときの
異物感だろうと思うのですが

でも、彼ら(含、優也/ありさ)の信じる教典は
欲望
であって
まったき他人事ではない、わけです。
少なからず、彼らと同じDNAが自分にもあるのではないか、
その“他人事でない”感が……怖いわけよ。

派遣会社を営む由希子。妻子ある男と付き合う一方、ホストを呼んで寂しさを埋めていた。恋人が不慮の死を遂げ、真相を探り始めるが――。鮮やかなラストに目をみはる傑作長編

いやいや、恋愛小説だと思って読んでいたら
ミステリーの体裁をとっているんだね、ふーん。となって
登場人物の“すぐ隣に居そうなリアリティー”と
彼らが信ずる“欲望”への際限ない傾倒が
不気味さとなってひたひたと押し寄せてくる、
ホラーじゃんこれ。
怖いよー。