編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

ウェブも電子書籍もDVDもCDも編集しちゃうよでもいちばん仕事多いのはけっきょく紙

意外に正しいはずのみんなの意見につきまして。

マルちゃん正麺なる袋麺の噂は
当然、耳にしていて

売上数の上方修正だの
革新的な製法だの
景気のよさそうな単語とセットなのは
まずはめでたい。
と思うぐらいにはニュートラルな私でしたが
実際に食べてみたら
んー。
どう贔屓目に評価してもフツー。

本当に「みんなの意見」として
これがうまい、とされているのだとしたら
俺はついに「みんな」外かよ。
とうっかり半分ぐらいは思ったのですが

ま、商品名で検索すれば
マーケティングを云々する説も多数あるようで
ちょっと正気に戻ることができました。
いんたーねっつ、ありがとう。


でもさー、と話は続く。


100%マーケティング力だけで作られた
「大好評」って
寡聞にしてその実在を知らんがな、というか

本当はマズいけど広告宣伝によって
ウマいと思い込まされている情弱ども。
みたいなことって
いまどき成立させるのは難しいわけでしょう?

自分の味の好みについての定見が薄いひとに
ウマいと思い込ませて
その結果として
「みんながウマいって言ってる」感を醸成した
のがマルちゃん正麺の大ヒット、
だとしたら
仕掛けた代理店とノッた消費者の
共犯ですよね。

で、それはもちろん
過去のヒット商品の成立事情と
大きく変わるところはない。
ただ、「みんなの意見」と
「自分の乖離」を認知する機会として
インスタント麺という、身近な商品が
良い教材だったのかも、
ということですかね。


そして話題は突然競馬に代わる。

武豊(という、かつて名声をほしいままにした名手)
マイルチャンピオンシップ(という、格とか賞金の高い競争)
勝ちまして
中央競馬に限定していえば」
その格のレースに勝利したのは2年ぶり、
という事実に

  中央競馬しか視野に入れない発言を
  お素人衆がするのはいいけど
  メディアはせめて「中央競馬では」
  という注釈を入れるべきではあります。
  そうでなかったら
  その「空白の2年間」で
  5つもG1勝ったスマートファルコン
  立場がねえよ!←マジギレ

思わず「みんなが感動した」
状況が出来ましたの。

もちろん
同世代-というか、正確にいうと同学年-の
スター・ジョッキーを
デビュー以来ずーっと見てきた者として
感慨は人並み以上にあるんですが
ちょっと面白いな、と思ったのは
そこじゃない。

日本の競馬情報を海外に発信している
アメリカ人ジャーナリストが
その「武豊復活慶祝ムード」に
まるで気づけていないらしいこと。

日本人ではない視点で発する情報
競馬ジャーナリズムで異彩をはなっており
感性が細やかな人物なことは
その書く文章を見ればわかるので

われわれ日本の競馬ファンが
こんなにあからさまに共有しているムードに、
その彼女が気づかないっていうのは

いかに「空気」っていうのが
翻訳しづらいか、という
証左でしょう。おもしろくね?

……話がちらかっちゃったな。

・みんなの意見は意外に操作可能である
・それが可視化される時代ではある
・だが結局操作されちゃう危険は変わらずあり
・それを感じ取れるのは「中の人」だけ
・危機感に発信するのは「中の人」の
 たぶん義務でもある

結論。
マルちゃん正麺は無駄にホメられ過ぎ感
・今の武豊北の湖の晩年が似すぎていてフクザツです