編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

ウェブも電子書籍もDVDもCDも編集しちゃうよでもいちばん仕事多いのはけっきょく紙

いなばのツナとタイカレーが適当に絶賛されることがないのはめでタイね

予備知識なく食べた、いなばのツナとタイカレー
缶詰にしちゃあエラく真剣な作りですな。
と感心して検索したらとっくに評判になっていて、
なかでも「めしばな刑事」で取り上げられたのをきっかけに
食べてみた人が実際とても多い模様。


テレビのお安いバラエティで
芸人に適当なモノを食わせては
「うまっ」
「これは絶対やで」
「あるねー」
云々、毎度コピペで出来てんの? なリアクションを促すには
お子様舌の芸人たちには“本格的なタイカレーの味”すぎる、という意味で
バラエティ番組には向いてない商品ですから

渋めの人気コミックでフィーチャーされる、というのは
販売者が狙った展開では(たぶん)ないにせよ
あたまイイなー。
と思った次第。です。まる。


というのは第一印象で、以下余談。

「うまっ」「信じられないっ」「本格的っ」
云々、お手軽な文句はテレビの常とはいえ
そうしたことばの軽さが
そろそろ鼻につきだしてる気がする……のは
果たして私だけ、なんでしょうか。
それともこんなことを思うのは俺がおっさんだからか。
そうか、俺がおっさんだからッッ。


冷凍食品しかり、コンビニフーズしかり、
ファストフードチェーンのメニューしかり、
大量生産大量消費を前提にした、いわば工業品の
一律な味付けは
(逆に「まっっずっっ」みたいな例が稀有なことからも)
“うまい”尺度は適用しない
仮に適用するにしても節度が必要、という
暗黙の了解事項が存在していた・はずですよね。
ね?


最初は
あえて「そういう食べもの」をホメちぎる、という行為にも
意味はあったと思うんですが
もうね、いいんじゃないか、と。

お子様舌で
うまい・まずいを語る資格の足りないひとたちに
これ以上、恥をかかせるのはやめてあげればいいのに。
そう思うわけです。


ひるがえって、いなばのタイカレー缶にしても同様で
これ、うまいといえばうまいけど
本当においしいタイカレー食ったことがある人なら
共感できると思うんですけど
あきらかに「缶詰にしては」「この値段にしては」
という留保がつくわけですよ。

……とか考えた瞬間の自問自答
「なに、なんで俺は
“本当においしいタイカレー食ったことがあるひと”の立場で
 上から語ってんの?」


そういえばジミ・ヘンドリックスという人が歌ってましたね


So, are you experienced? (あんたはもうヤッた?)
Have you ever been experienced? (一回でもヤッたことある?)
Well, I have (俺? 俺はもちろんヤッたっすよ)


マイノリティー讃歌、というか
良識あるひとたちが眉をひそめるようなコトでも
体験してみると
それまで見えなかった世界が見えてくるよ、
あんたも経験してみな。
……って内容だと理解しているんですが


“本当に本物の○○”
を体験した、と信じているひとが
未体験なひとを小馬鹿にする歌詞にもなりえますな。

ええ、いえ、オチは無いんですけど。