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有川浩「フリーター、家を買う」文庫版あとがきにむむっ


文庫派俺調べによる、
有川浩の「文庫版あとがき」には
何が書かれているか問題
の暫定調査結果を発表します。

作品名 刊行 発行日 舞台裏 謝 辞 その他
空の中 角川文庫 2008年6月  ○  ○
海の底 角川文庫 2009年4月  ○
レインツリーの国 潮文庫 2009年7月  ○  ○  ○
シアター! メディアワークス文庫 2009年12月  ○  ○
塩の街 角川文庫 2010年1月  ○  ○
クジラの彼 角川文庫 2010年6月  ○  ○
阪急電車 幻冬舎文庫 2010年8月  ○
図書館戦争 角川文庫 2011年4月  ○
図書館内乱 角川文庫 2011年4月  ○
もう一つのシアター! メディアワークス文庫 2011年5月
図書館危機 角川文庫 2011年5月  ○  ○
図書館革命 角川文庫 2011年6月  ○  ○
別冊 図書館戦争 角川文庫 2011年7月  ○   ○ 
別冊 図書館戦争II 角川文庫 2011年8月  ○ 
シアター! メディアワークス文庫 2011年11月
三匹のおっさん 文春文庫 2012年3月  ○
フリーター、家を買う。 幻冬舎文庫 2012年8月  ○ 

注釈
・作品についてのコメント、は全作品にあります
・ので「シアター!」の2作にあとがきが無いわけではありません
・正確には「もう一つのシアター!」にあとがきは無くてまえがきなんですけども
・「三匹のおっさん」の文庫版あとがきは有川作品どの本編と比べてもヒケをとらない名文である(断言
・あ、すみません「ラブコメ今昔」まだ買ってないの


以下は
本屋大賞有川浩が「辞退」した件について書いた
http://d.hatena.ne.jp/lafs/20120517/p1
続き・のようなもの、なのですが。



フリーター、家を買う。」の文庫版あとがきは
本屋大賞有川浩が辞退するに至った際
作家を襲ったドタバタについての
苦い思いがつづられていて
(そう読める、というレベルを逸脱している、と
 個人的には思う)

作品そのものではなく
「その他」としか言いようがないコトを
あとがきに書いちゃう人ではあるわけですから
珍しい話ではない、のですが
なんだか読後感が残念なんですよ。


つまり、
作家がこう書いちゃうのはやむなしとしても
止めるのが編集者の役目ではないのか。
そういうときのために
作家と読者の直販ではない、
出版社という媒介者が
介在するんじゃないのか。


僅々見開き2ページ、
4段落しかない文庫版あとがきではありますが
最後から2番目の段落は
これは無いほうがいいよ。
無くても通じる以上、
ほんとうの「蛇足」ですよ。

作品本編で語ったテーマを
ことばを換えて
あらためて書いたんです、
というなら、
もっと作中のことに引き付けて書けばいい。
その程度の手練手管も忘却して
  ガーッ
と書いたんだろうな、
有川浩の思い推して知るべし。
と思いはするのですが
……って私程度の読者ですら、
気付くんだから
先生、ちょっ、ちょっと待って。
のひとことを言わんかいさ。

つまり、
フリーター、家を買う。
文庫版あとがきを一読して
むむっ。
となったのは

編集者、仕事しろ。


なお、作品名は正しくは
「フリーターは、家を買ってない。」
じゃねえか、という
JAROに何か言いたくなる件は
……まあなあ、東スポの見出し
だと思えばいいのかなあ。