編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

ウェブも電子書籍もDVDもCDも編集しちゃうよでもいちばん仕事多いのはけっきょく紙

紀伊國屋書店新宿本店の「ほんのまくら〜書き出しで選ぶ100冊〜」フェアに感激した僕は


別名「本の闇鍋状態」という、フェアの概要をまとめると


紀伊國屋書店新宿本店で
・期間限定で開催中
・文庫100点を店舗が選出
・もとの装丁は隠して中も見えないようシュリンク
・代わりに本文冒頭部をデザイン
・それだけを判断材料に、さあお客さんどう?
・多くの本好きに大好評
・品切れタイトル続出中


企画には無論すごくそそられるんだけど
大混雑と聞いて引いてしまう私。

あと、脊髄反射のように
「これはリアルでしかできない企画」といわれると
そう? と脊髄反射には脊髄反射でお応えしてしまう体質……。


というわけで、果たしてオンライン書店で「本の闇鍋」は可能か。


想像上とはいえ
他店がこの企画やるのは道義的にナンでしょうから
たとえば紀伊國屋書店のオンライン店で
同じフェアを企画したら?


・流通はリアルもバーチャルも対等ですよね
・本の選出についてもリアルだから、バーチャルだからという差は無い
・むしろオーダー受けてからシュリンクすればいいんだから
 バーチャルにこそ向いてる企画かもよ


……。ネットでこの企画を見かけるのと
現実にリアル店舗でおこなわれている様子を見るのと、
何か違いがありそうな気がしてならない。


まず思い浮かぶのが、
100点の文字列が同時に目に入ってくるインパクト。
と、それによって生み出される磁力。
遊園地の出口にあるスーベニアショップが凶悪なまでに
人のありがねを吸い取ろうとするあれです、あれ。


商品そのものが並んだときに発するナニかが
潜在顧客を「ソノ気」にさせる、という点は
たしかにリアルならではかもしれません。
だがバーチャルでもそれに近いことは
知恵を絞れば不可能ではない・とは思う
(ポイント○倍とかいう力技も、ひとつの解ではあるでしょうしね)
のですが、上記以上に
「これはリアルならでは、だな」と思うのが
店頭で手にとるじゃないですか。
持つじゃないですか。
重さを脳が感じるじゃないですか。
……というこのプロセス。
オンライン書店の書誌情報って
たしかに重量までは書いてないんですけど
仮にグラム数を書かれても、
それによって購買欲を刺激するほどの意味は(たぶん)ない。

ほぼ日刊イトイ新聞の本[単行本] 昭和水滸伝(上)[文庫]
単行本: 303ページ 文庫: 823ページ
出版社: 講談社 出版社: 小学館
ISBN-10: 4062103478 ISBN-10: 4094085165
ISBN-13: 978-4062103473 ISBN-13: 978-4094085167
発売日: 2001/4/26 発売日: 2010/6/4
商品の寸法: 18.6x13.6x3.4cm 商品の寸法: 15x10.6x3.2 cm
重さ: 405g 重さ: 415g


ここに並べた2点のうち、左側の「ほぼ日」本を
書店店頭で手に取ったときの衝撃はいまも鮮明です。
あの質感をバーチャルが獲得するのはさすがにまだ時間がかかるだろうな。
なにしろ


軽い!


という驚き。そして
ふわっふわなのね。
(ちなみに装丁は秋山具義)
(表紙素材にウレタンが入ってる)
ええとね、どのぐらい軽いかっていうと。


を証明しようと、秤に載せたら
藤原審爾の800ページ超の大作とだいたい同じ重さだった、
という残念な結果が出たのですが先生このエントリどうすればいいですか。


迷走の挙句
「表紙 材質 ポリウレタン」で検索してたら

・開くと枕に!
・ウレタン素材で机上で頭をやさしく支えてくれます
・A4辞典タイプで収納に便利!
・商品名:昼寝枕仕事中毒机上版

という
ほんのまくら」がヒットしたことをご報告申し上げて
本日はお先に失礼させていただきますー。