編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

ウェブも電子書籍もDVDもCDも編集しちゃうよでもいちばん仕事多いのはけっきょく紙

6.刺青


初出:1924年ポケット
参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一)
時代設定:1867年10月
 「もう、とっくに御承知でしょうが例の御札騒ぎです。
  祇園の祭がすむかすまないかに始まったんですから、なんでも夏ごろの話ですが」

 「前の月も押し詰まった二十九日の晩、月のないのを幸いに」
 (「7.鬘下地」との連続性により1867年と推定)

 私は、「ポケット」なる雑誌を手に取って見たことがない。新聞などの広告で、内容を知っているだけで、外国文学だけを読んでいる私には、縁の無い新講談の雑誌である。
   −「鞍馬天狗と三十年」

掲載誌「ポケット」について
作者はそんなことをいっているのですが
博文館五十年史」という資料に
1923年11月予定発行部数という欄がありました。
それによると博文館雑誌群の公称部数は、当時
  譚海    70,000部
  講談雑誌  58,000部
  少女世界  40,000部
  文藝倶楽部 32,000部
  幼年画報  28,000部
  少年世界  26,000部
  ポケット  25,000部
   :
   :
  新青年   12,500部
版元としての博文館の全盛期は明治とともに過ぎているので
実に微妙な部数の雑誌、という位置づけと考えていいんでしょうかね。

逆にいうと
そのレベルだったからこそ
作者が手探りで書き進めることが許されてきた、
といえるんだと思うんですよ鞍馬天狗初期シリーズ。
だってマジ手探りなんだもの。

しかし! 本作に至ってついに!
9.御用盗異聞」に至るまでのプロットが定まります。


西郷隆盛の発注を受け
江戸に向かうことになる鞍馬天狗・アンド・カンパニー。
ただいま一緒に働いてくださる方をぼしゅうしてます。
明るく楽しい仲間が待ってるよ!

ブラック企業ということばはもっぱら
働く者の待遇が酷い、という意味に使われがちですけど
待遇は完璧でも
社としてのミッションが反社会的であれば
やっぱりブラックなんで−。

 「取るに足らぬ我々を見込んで、その大仕事をせいといってくれるのはありがたいが、して、それはどういう風にやるのだ? 狂言の筋さえ作ってくれるなら、拙い役者ながら全力をそそいで演る気だが」
 「うむ。諸君ならわけもない仕事じゃ。ただ幕府を怒らせてくれればいい」
 「幕府を怒らせる?」
 「そうじゃ。幕府を怒らせて向うから戦端を開くように仕向けるのじゃ」

うむ。鞍馬天狗&(ry、十分ブラック決定じゃww
そういえば応募資格は
  年齢性別不問、才能重視。刺青いれててもOK!
だった。
つまり某市方面で失職予定の皆様方のご応募、お待ちしてますとか
そんな余計なことのひとつも思ったり。