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編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

ウェブも電子書籍もDVDもCDも編集しちゃうよでもいちばん仕事多いのはけっきょく紙

4.女人地獄


初出:1924年ポケット
参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一)
時代設定:1867年9月
 「名月までにはまだ幾日か間はあったが、初秋らしく」
 (「5.影法師」との連続性に鑑みて1867年)

作者がタイトルの「女人地獄」にどの程度の意図を込めたか
まったくもって不明ですが
男女間の愛憎でへとへと。という物語を構想したと思しき短編が
実際に気の毒な感じになるのが女性のみ、という
言い訳不能な展開になっておりまして
本作のリメイク版がいつか作られる日があれば
後年の作者が執筆当時の作者の机のひきだしから出てきて
「だめだよそんなんじゃ!」
的シチュエーションがあってもいいと思うの。

        *  *  *

掲載誌ポケットが目指していたコンテンツは
当時の人気ジャンル「(古典ではない)新作講談」でした。

実在の、歴史上人名を出すことで親近感を醸成しつつ
それまで講談の舞台にはなりにくかった幕末物語を。
という鞍馬天狗シリーズが
初期作品のクオリティがいまいちアレなわりに
広く江湖に迎えられたというのは
そういうわけで、迎える側のハードルが
比較的低めに設定されていたからなんですね。


シリーズ全47作から
鞍馬天狗シリーズに描かれる女性像」を概観してみれば
作者がどのように
この「女人地獄」ステイタスをアップデートしていったか、
わかります。

“定められた運命”から脱け出そうとあがくのも(「12.鞍馬天狗余燼」)
既成概念からいち早く抜けるのも女で(「25.薩摩の使者」)
馬鹿な男に振り回されても自分を見失うことはなく(「27.鞍馬の火祭り」)

「坂本先生なんて、まだ、ほんとうにお若い方じゃありませんか。勘平さんではありませんが、まだ三十になるかならずのところでございましょう? 多勢の、やはり若い方にかこまれて、火気というんでしょうか、拝見していて、こちらの顔が熱くなるくらいに強い気力で、いっぱいになって歩いておいでなんです。幕府方の方たちに、この勢いはございません。みなさんが、なにか目には見えない重い荷物を肩につけて、軽くは動けぬのだと仰有ろうとしているようなんです。違いますね。」
   「47.地獄太平記

そう、女が自分の足で歩き出すと、いつだって男は取り残されるんや(キリッ