臭イイ話
電車を待ってたら若い女子2名が深刻そうな話をしていたので
他人の会話がすごくよく聞こえてしまう耳を持つ私は
彼女たちと背中あわせのベンチに座りながら
聞くともなく聞いておりました。
「なんかねえ、あれよ」
「何」
「顔面にケーキぶつけるやつあるじゃん、バラエティーで」
「ああ、ああ」
「あんな感じでね、肩をとんとん。って叩かれたから、ん?
って振り向いたらドーン!」
「ウケる」
「しかも、ケーキじゃないのよ、ウ○コよ!」
「こらこらこらっ。やめろやめろやめろ!」
「顔面にウン○がドーン!」
「2回言うなっ」
「マジでそんな感じっすよ」
比喩か。よかった。
そのまま聞いてていいのか、聞いてるおじさんのお尻が2mmぐらい
浮いちゃったよ。
「でもワタクシは思ったわけです」
「○ンコまみれになりながら? ヤバい、腹筋ヤバい。」
「おまえ笑いすぎだし。
え、私こんな目にあうぐらいのことをさ
あの子にしてたってこと?」
「あー」
「でしょ。そのぐらいされても仕方ないか、って思えたらさあ、
まあいいよ、顔についたウンコ拭くよ」
「汚ないんだけど」
「でもこっちがさ、そういうの、ぜんぜん身に覚えがないときって
腹立つとかじゃないんだね、衝撃だけが来ンのね。
やーショックだったわー」
「ふーん。それは大変だったねえ」
「大変っつか、なんつーか」
「もう取れたの、ウンコは」
「わかんない。……あっ!」
「殺すぞおまえ、ひとになすりつけんじゃねえっ」
この子たちの会話ききながら
(なんなのその修羅場)というあたりまえの感想以外に
私の頭に浮かんでいたのは
自分もそういう仕打ちうけたことあるなあ、
ということと
実は知らないうちにそんな仕打ちをやる側にもなってるんだろうなあ、
ということでした。
電車遅延でささくれだつ朝に一服の清涼剤となる話題を
ほんとうにありがとうございました。