ぼくは雑誌が売れないことより新刊が売れないことに興味があったので。
元記事のタイトルが
「武田ランダムハウスジャパンの破たんは、出版界崩壊の序章か」
っていうものだったんですが
扇情的なのはいいんだけど
(うん、いいコトバだ「扇情的」)
俺の大嫌いな漢字かな混交が許せなくて
スルーしていたん。です。が。
出版社、書店、取次不況の実態…新刊の7割が返品、コンビニでも雑誌売れない (Business Journal) - Yahoo!ニュース
と、タイトルロンダリングを経て
さらに
この記事について、これから小説家・小説読者の立場から(つまり全然ビジネス的でなく)考えます。(続く)→出版社、書店、取次不況の実態…新刊の7割が返品、コンビニでも雑誌売れない(Business Journal) - Y!ニュース zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=2013…
— 藤谷治さん (@yuntachura) 1月 5, 2013
興味深い考察も目にしたので
(ちなみに藤谷治のツイートは
往々にしてセットで読むべきものですので
まとめておきました↓)
本が売れないということについて(ビジネス的でなく)考える藤谷治 - Togetter
なんか言いたくなりました。
以上前置き。
■実作者である藤谷治は
「旧刊を上回る共感を新刊が創出できなくなっている」すなわち
作品の質こそが帰趨を握る
と言っており
それこそ
この手の議論ではあまり表に出て来ない見地っすね、
と感心した点でしたが
さはさりながら
「一定の共感を獲得するための」
「新刊購入というアクション」
がコスト的に見合わなくなっている
側面が最大の元凶じゃ? というのが私見。
ひょっとしたら「雑誌が売れない」のも
発売時期から一定期間でしか買えない
&定期購読なんてリスキーな行為はできませんよ
ってことで
「新刊販売」という呪いなのかも?
ってどうですかこの仮説。
■ふたたび藤谷治いわく
「なぜ新刊は出るのか、それは人は今を知りたい。
自分と同じ空気を呼吸している言葉を読みたい。
その要請のため」である。
うん。同意できますね。
雑誌(あるいは新聞、あるいはTV)
というメディアが
「自分と同じ空気を呼吸している言葉」
を伝えるものではない
とバレちゃったのと異なり
たとえば小説は
まだ人が望みを賭け得るメディアなんだろう。
(と個人的にも思います)
だけど
「自分と同じ空気を呼吸している言葉」を
いま買えば2000円だけど
2年待ったら700円だよ(←単行本文庫化の話)
つまり1300円の差額は「空気」の価格で
新刊購入コストはかさ上げされている。
そのことに
お客さんは気付いた、
売り手・作り手は
「まだバレてない」と信じている。
それが
「出版社、書店、取次不況の実態」
じゃないんですか。
ついでに言うと
文庫化はしません、と売り手・作り手が決断しても
新古書店サイクルに流れることで
「望ましからぬ価格」が市場を形成することは
止められません
■で、どうすんのよアンタはッ!
って聞かれたら・作り手が売り手を兼ねること
などによる、コスト削減の努力
・値付け行為は真剣にね
という2点を鑑みるに
いままでの大きさの箱(としての出版社)は
苦しいけど
・売れるものはまだまだいっぱいあるのよ
・って美輪様が紅白で歌ってましたし
だから、まあ
しみじみがんばりますぼくは。
というあたりが
2013年、年頭の所感なんでござる。