編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

ウェブも電子書籍もDVDもCDも編集しちゃうよでもいちばん仕事多いのはけっきょく紙

クレしんが提示する家族礼賛とかそういうアレがアレなオレのほうがたぶんアレ

つい先日、劇場版最新21作目の公開にあわせて
20作目「嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス」が
地上波で放送されていたん。

ふとした心の迷いから
数秒間チャンネルをあわせたのですが
たまたまその時、流れていたセリフが野原ひろしの
「俺たちは家族だから」ポジティブ発言で

そこで、ほぼ4年前に某所に書いた感想を
コピペってみたくなりました。という話。

電撃!ブタのヒヅメ大作戦(1998)
爆発!温泉わくわく大決戦(1999)
嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲(2001)
嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦(2002)
伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!(2006)
の5作品を見たのですが(別に一気に見たわけではない)
傑作のホマレ高い「戦国大合戦」が
やはり、ちょっと異様なまでに突出してますねえ。
TVアニメも原作コミックも
すべてのしんのすけ主演作品が
野原しんのすけ(5歳)の“まっすぐ性”を
ブレない核としていることは確かで
「戦国大合戦」の引き起こす感動も
彼のおなじみキャラと
そのまっすぐな発言の
ギャップに拠るところが大きいので
さあ、近日公開な実写版が果たしてどこまで迫ることができるか
というところ。
そもそも
野原一家という“歴史に参加することができない傍観者”を
横に置きながら進むのが
戦国期を背景にした姫と家臣の純愛、という“だけ”のテーマなので
トリックスターが主役ヅラするとそこで物語は陳腐化してしまう。
(マジメな話になりかかるとしんのすけがおケツを出して
 ふっとみんなが-作り手も観客も-冷静になる、という仕掛けは
 シェイクスピア劇と同じ構造ですね)
実写版が果敢な失敗作に終わらないことを祈りましょう。
ちなみに、もう一方の最高峰とされる「オトナ帝国」は
もちろんシーンごとに泣きドコロあったものの
全体を貫くテーマが
作り手のノスタルジー
という以上の普遍性に欠けるんでは、という気がして
個人的には「ブタのヒヅメ」の下、という位置づけ。
5作中、最も新しい「アミーゴ」が
裏テーマ“家族愛”を金科玉条とするあまり
表はどこまでフザケても大丈夫、というような
収拾つかない凡作に終わってしまっているところを見ると
シリーズものって
勝ちパターンを見つけたと思うと
そこが負けの始まり、というか
……やー。難しいもんですなあ。じゃ、オラはこれでー。

    (2009年05月09日17:21)

この時点でも感じていたっぽいのですが
「オトナ帝国」で確立された、
クレしん映画の主張する家族礼賛というテーマは
本来ドヤ顔で語られるべきことではなく
あくまでも「裏テーマ」の域に置かれるべきものですよね?
さいきんソレ、安易に表に出しすぎてない?

もちろん、ほんの数秒しか見ずに断ずるとか
最新作に至っては見てもいないのに
「最近のクレしん映画ってさー」とまとめてドヤ顔するのは
いかがなものかと思うのですが

誰もが反対できないような・正しいこと
を表のテーマとして論じるなら
相応の覚悟は必要ですよね。
という感想は、自分に向けることばとして
記録しておこう。そう思ったのでした。