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編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

ウェブも電子書籍もDVDもCDも編集しちゃうよでもいちばん仕事多いのはけっきょく紙

ある「本のオビ評論家」の日記から


ああ、ええ話や。と思ったので引用。

悪徳書店員日誌II「売れるオビ」
http://akuto9book.exblog.jp/12176190/

第55回江戸川乱歩賞受賞作『プリズン・トリック』遠藤武文(講談社)がよく売れている。もともと乱歩賞は他の新人賞より売れる賞ではあるけれど、今回はかなり動きが速い。なんでだろうと思ってよく見てみると、帯で東野圭吾氏が「○○○○○○○のトリックだ」と絶賛しているためだった。

(中略)もう一つ、帯の影響と思われる売れ行き良好書は、『しがみつかない生き方』香山リカ(幻冬舎新書)。帯の文句はシンプルに「○○○○を目指さない」。
(文中伏せ字は引用者によります。正解は原文でどうぞ)

これを「エエ話」と認識するのは
本のオビ評論界(……)第一人者である私ならでは、なのかもしれませんが
反例として、比較的最近我が家に来たオビから
ランダムに挙げてみましょうか。


◎プリムローズ殺人事件
人々がそう噂する連続殺人に女性刑事が挑む!
−永井するみ「さくら草」創元推理文庫

[講評]
「そう噂する」というくだりが
いかにも(編集者が)切羽詰まった感を漂わせて
なんだかせつないのですが
ちょっとこれじゃーねー?
「業界小説」かつ「謎解き」という
本編の持つふたつの魅力のうち
前者に触れられていないところが残念でなりません。

◎地味で暗くて話し下手。
こんな私が、キャバクラ嬢!?
桂望実「Lady, Go」幻冬舎文庫

[講評]
ええ、オビの効用に
「本のあらすじ紹介」という側面があることは事実ですし
この小説をまとめてしまえば“そういうお話”であることもまた
事実ではあるのですが
……ミもフタも無い気がするのは私だけですか。
たとえば

あなたがもし、地味で暗くて話し下手……だったら。
キャバクラ嬢に……なれます!?

とかさ、もうひとひねりあってもいいんじゃないだろうか。
と書いてから
そうか、最近はそういうツッコミは
書店のPOPが担当することになっているのか、と気づきました。
その意味では“新しいオビのあり方”なのかも?

◎ラスト近くでまた涙がこみ上げてきた。いい小説だ。
多くの人に読まれてほしい小説だ。−北上次郎(本書解説より)
桂望実「Run! Run! Run!」文春文庫

[講評]
北上次郎に限らず
名のある解説者の力の入ったコメントを
そのままオビに流用する、それ自体は
「売れてくれ」という編集者の思いを伝えて
必ずしも否定しないのですが
この引用は
どんな小説のオビにでも使えちゃうわ、
小説の内容がまるでわからないわ、で
そっちが定型文で攻めてくるなら
こっちもこう答えさせていただくほかはない、いわく
「いかがなものかと思わざるをえない」。


ひとくちに本のオビといっても
みんな目指すところは同じですが(この本が売れて欲しい!)
現実はいうまでもなく、玉石混交なわけで
「売れるオビ」がいかに貴重なものか、
おわかりいただけたでしょうか。