編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

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ひみつなんとか法案が可決された日に聴くジョン・レノン(予定稿)

私が産まれたのは
ビートルズが既に名ばかりビートルズになっていた頃で
っていうのはつまり
彼らが解散する前に産まれていた世代ではあるオッサンなわけで

そういう年代の人間にとって馴染みある音源は
アナログ盤なんですよね
(当然リマスターなんかじゃないやつな!)

文字通り、円盤が擦り切れるぐらいに聴き倒していたものだから
CDを手にするにしても
アナログ盤で発売の無かったカタログになってしまい
つい先日、ようやくiTunesライブラリに213曲を入れたんですが
ふと気が付けばこの間のインターバル、30年。
というのは過大修辞かもしれませんが
たとえばジョージ・マーティン・オーケストラを聴くのは
確実に25年ぶりぐらいのことではありました。

ええ、何の話をしようとしているのかというと
久しぶりに「Savoy Truffle」聴いたけど
やっぱりいいよねえ、とか
「I Will」のボーカルベース
こんなクリアな音で聴くのは初めてだな、とか
とくに「For Sale」
アナログ盤で俺のカラダに刷り込まれた音感と
ぜんぜん違うやんけ責任者出てこい、とか
そういう話ではなく ←お約束

ジョンの「Hey Bulldog」って
ひょっとしたら213曲のなかでいちばん好きかもしれん
とそれこそ30年ぐらい思っている曲なんですが
(いちばん好き、と断言してはイカンような気になる曲でもあり)

どこが好きかっていうと、歌詞ね。
なかでも、ひみつなんとか法案が可決された(予定)日に聴く

  If you're lonely you can talk to me.

という一節は
しみじみナカーマ感がかもし出されて、という話
を書こうと思ったんですが
いつにもまして前置き長いね俺。

曲ぜんたいがジョン・レノン得意の言葉遊び
-口から出まかせともいう-
で出来ているので
その分、彼のひととなりが浸み出て来るようなフレーズも多く
上で引いた箇所なんかもその典型的な例です。だけど

  さびしけりゃ俺に話しかけてもいいんだぜ

って訳すと、ジョンが上から語ってるフレーズにしか聞けませんが
これ

  Otherwise, you have no rights to talk to me.

ってことなのよ(と思っている)
即ち

  アンタ、さびしんぼう? そうじゃないなら
  こっち寄って来ないでくんない?

最初にこの曲を聞いた中学生のころから
ずーっとそう思ってきたんですが、久しぶりに聞いて
……やっぱり同じ印象を受けました。

なれなれしい奴らを拒否するような音と、
「いかにもシニカル」な歌詞、その向こうに居るのは

世の中ぜんぱんとの違和感を覚えている自分と
同じ価値感もってる奴、いない? おまえ、そう?
ふーん。だったら仲良くしようぜ。

ってただのツンデレだな、ジョン(当時27歳!)


ひみつなんとか法案云々で何にうんざりするかって
賛成してる人(もいるんですよね?)
大声で反対してる人、どっちにしても
そういう人たちに囲まれて
自分の居場所はここじゃない気がする。
というようなlonelinessがね
なんだよしゃらくせーロンリネスって。
そんなガラかい、みたいな自嘲とともに
延々と、心の内側から湧いて出て来るのが
面倒なんですよ。

そういう意味じゃ、この「Hey Bulldog」のロンリネス

The Beatles- Hey Bulldog Legendado HD - YouTube
物言えば唇寒し、って芭蕉が詠んだときに感じていたであろうロンリネスと
近いかもしれなくってよ。