本屋大賞が芥川賞直木賞に比肩すべき賞になった日
本屋大賞、藤谷の「世界でいちばん美しい」(小学館)は相手にされませんでした。あれだけやっても駄目、ということがまだよく判らないでいます。そもそも僕が駄目な小説家なのかもしれないけど、それ以上に、世間から相手にされないことが身にしみます。ただ「読者」はいてくれて、それで(続く)
— 藤谷治 (@yuntachura) 2014, 1月 21
(続き)持ちこたえているようなものです。しかし今の世の中、「読者」は激減しております。読者を超えた「世間」を相手にしなければなりませんが、「世間」はどんどん「評判だから読む」という流れに棹さしています。そして「評判」とは小説の場合、殆どが「受賞」と同義です。(続く)
— 藤谷治 (@yuntachura) 2014, 1月 21
(続き)こんな泣き言を呟いて、きっとあとで悔やむと思うけれど、今はこういうことを呟かずにはいられません。しょうがないから死ぬまで自転車操業でいきます。失礼しました。いいたいことは以上です。これ呟いたこと直ちに忘れて仕事しますので、読んだ方もどうか無視してください。
— 藤谷治 (@yuntachura) January 21, 2014
言っておきますけど
これらのツイートを受けた私の感想は
逆に「船に乗れ!」みたいな大部の作品がノミネートに残ったことを、もっと誇っていいと思いました / “Twitter / yuntachura: 本屋大賞、藤谷の「世界でいちばん美しい」(小学館)は相手にさ ...” http://t.co/67wrfDpvCb
— unpocketable (@unpocketable) 2014, 1月 21
ですからね。
あと、念のために書いておくと
作家が満を持して世に送り出した最新作こそ未読ですが
(……ぶ、文庫派だから)
「おがたQ、という女」
「いなかのせんきょ」
「恋するたなだ君」
「またたび峠」
「マリッジ・インポッシブル」
は読んでるんで
つまり、愛読者を名乗る資格はないにせよ
このエントリの主旨が揶揄にないことは
あらかじめ申し上げておきたい。
過去10回の本屋大賞の功績のうち、
私的3傑をあげれば
・1回目と2回目の授賞作が賞の性質を確乎たるものにした件
・某人気作家による「辞退」という事態に負けなかった件
とあわせて
・「船に乗れ!」がノミネート10作に残った件
が入ると思っているぐらいで
※説明しよう
本屋大賞の二次投票にノミネートされるというのは
選考委員である全国の書店員が
「ノミネート作品をすべて読んだ上で」
「全作品に感想コメントを書き」
ベスト3に順位をつけて投票
というプロセスを背負った、という意味である。
「船に乗れ!」がどんだけぶあっつい本か
知っていれば
それを「読んで」「薦めたい」「売りたい」
と思ったひとの熱量が
どれだけのものか、わかろうというものなのだ。
つまり、あのときの手ごたえが
作家をして
太宰治みたいな
あるいは阿部牧郎みたいな
ツイートをさせたんであろう、と想像するに難くないわけですが
ここ数年、恒例行事の如く言われる
「本屋大賞もメジャーな作品を選ぶようになって」
「最初のころは本当に本が好きな人たちによる手作り感があったけど」
「代理店の映像化ビジネスばっかり注目されて」
云々
以上に
今年の、実作者によるコメントは
ああ。大きな存在になったんだなあ、と
思ったことでした。
11回目の今年も、ヲチしてるだけで楽しめる賞でありますように。
そして、作品の良し悪しと
賞の対象になるならないは別問題、という
当事者以外には明瞭な話が
作者にも伝わるようなエピソードが起きますように。
こちらからは以上です。