指定管理者の「民間業者ならではのノウハウ」が必ずしも善とは限らない件
はじめに申し上げておきますと
私個人は
・本屋さん好きだし
・図書館も愛用していますし
・古書店、新古書店も遠慮せず利用します
・しかも単行本は買わず、文庫化まで待つので
・自分縛りとして「文芸作品は借りない」って決めてます
というスタンスで、かつ
・自分と違うスタンスのひとがいたっていいじゃないか。
と思う者であります。てことは
・あなたと私のスタンスが違ったっていいじゃない?
ということでもあります。さて。
ここの「ランキング」なるものを見て
1位の作品の詳細ページに行くと
蔵書1冊、予約待ち15件
という数字が。おー。
(=複本ないって、それは慶賀すべきことでは。の意)
念のため
同2位、3位の作品を見ても
結論は変わらなかったんで
へー。
意外ー。
としつこく5位まで見ていったら
蔵書11、予約待ち0
という物件に遭遇しまして。
まあね。そうだろうね。
と、リストを50位まで調べていきましたん。
市内の小中高校図書室データも
同じシステム下で管理されているので
単純に蔵書数だけを見ていくと
「え?」となるような
蔵書数が表示されたりして、
無駄に驚かされたりもしましたが
複本の数で目立ったタイトルは
rank | 書名 | 著者名 | 蔵書数 | 予約件数 |
---|---|---|---|---|
5 | 舟を編む | 三浦しをん | 11 | 0 |
18 | ソロモンの偽証第2部 | 宮部みゆき | 7 | 1 |
19 | 真夏の方程式 | 東野圭吾 | 7 | 1 |
40 | 64 | 横山秀夫 | 6 | 0 |
41 | スタンフォードの自分を変える教室 | ケリー・マクゴニガル | 5 | 0 |
42 | ソロモンの偽証 第3部 | 宮部みゆき | 7 | 0 |
43 | ソロモンの偽証 第1部 | 宮部みゆき | 7 | 1 |
こんな感じ。
川崎市(人口144万)の市立図書館が「舟を編む」49冊持ちで貸し出し予約中が1600人超、という数字を見たあとに武雄市(人口5万人)の11冊持ち0人待ち、という数字を見たときの顔をしております。
— unpocketable (@unpocketable) 2013, 7月 9
ついでに
同等人口規模の市で比較してみました。
人口5万人級の市立図書館での「舟を編む」状況を見てたら、三浦市(神奈川県/蔵1待8)富士吉田市(山梨県/蔵3待1)益田市(島根県/蔵1待10)亀山市(三重県/蔵2待2)云々、やっぱり武雄市の蔵11待0、は指定管理者の“ノウハウ”がダメに働いた事例では、というひとまずの結論。
— unpocketable (@unpocketable) 2013, 7月 9
ですな。
2013年度複本対象大賞の「舟を編む」、
実売は50万部超だというのですが
複本がなければ100万部売れてたのに
……とは思えないので
(せいぜい50数万部じゃないですかね)
複本は適当な冊数である限りは
許容されるのではないか、
と個人的には思っています。
が、と言いつつも
この、佐賀県武雄市の
特定時期に購入されたタイトルの
7冊以上の複本態勢は
市立図書館の利用者実態に即した数字というより
「とりあえず平積みで展開するか」的な数字に見える、
わけで
上記の、今朝流れてきたニュースについて申し上げれば
武雄と「同じ要領で」
適正冊数よりも多い複本が配架される、という事態が
多賀城で繰り返されるべきではない、
というのが私見。でござる。
■その他メモ
いろいろ調べていて
ふーん。って思ったこと。
○図書館の指定管理者
TRC156、ヴォアックス28、紀伊国屋13、サントリーパブリシティサービス4、CCC1
○総務省調査(2012年4月)によると
・指定管理者制度を導入している図書館は317件
・更新期限が過ぎたあと、指定管理者が変更となった事例は18館
・利用料金制を採用している図書館は53(16.7%)存在
以上はここに書いてありました
○なお、図書館の利用料金制なんて
利用者からすると青天のヘキレキでございますが
「稼ぐ」側のマインドにあるのは
・資料予約は有料
・宅配は有料
・延滞料を徴収
みたいなことらしいです。
おお、延滞料。
それ、なんてTSXXXYA。