「新刊は紙と電子書籍同時刊行がデフォルトに」という某紙の細部に釣られた俺の負けだった
「新刊本を原則電子書籍に 角川や学研など 価格は紙の6~8割」
というトピックが日経に載ってる
っていうんで見に行きましたら
出版大手のKADOKAWAや学研ホールディングス(HD)が新刊本を原則すべて電子書籍にする。著者の承諾を得て、紙の出版物の6~8割の価格で販売する。これまで市場動向が見通せないとして慎重だった。スマートフォン(スマホ)などで電子書籍を手軽に読める環境が整い、専用端末も普及し始めたため積極策に転じる。(中略)海外市場は北米を中心に拡大期に入っているが、国内出版各社は本格展開に慎重だった。講談社が昨年、業界に先駆けて新刊本の電子化に着手。販売数が5万部を超えるヒット作が出るなど好調に推移している。
と、ありました。
なんの気なく、ふーん、講談社の電子版で
5万部超って? と思ったわけです。
そこそこの数字だから
検索すれば書名すぐに出てくるよね、と。
それがあんなことになるなんて
あのときのぼくは知らなかったんです。
的な。
いろんな検索ワードで試している途中
知らなかった釣果があったので楽しかったんですが
たとえば
講談社の第73期決算と役員人事について - 新teru0702の日記by今井照容
こんなのとか
来夏にはすべての新刊書を電子化の方針 朝日新聞社広告局 - @ADV
こんなのとか。
だいたいこの辺で
演繹法で推定するのはあきらめて
地道に調べよう、つまり
・電子書籍の売上ランキング的なものを
・講談社が紙と電子書籍の同時刊行をはじめた2012年7月以降
で調べれば
それらしい作品は浮かび上がるだろう。
と方針を転換する気分に。
さて、そんなときは
ITmedia eBook USER
です。
大手電子書店「BookLive!」のランキングデータが
月2回、更新されていますからね。
「総合ランキング」を見ても毎度「進撃の巨人」になってしまうので
ジャンル単位に細分化された、ひょっとすると
ダウンロード数が10あれば5位とかに入れちゃう・かもしれない
ランクを俯瞰すれば
少なくとも「話題になった」タイトルにアタリをつけることは
出来そうじゃね?
集計期間 | ランク | 書名(著者名) | 初版刊行年 |
---|---|---|---|
2012/7/1-15 | ミステリー1位 | モダンタイムス(伊坂幸太郎) | 2008 |
2012/7/1-15 | ミステリー3位 | 絡新婦の理【電子百鬼夜行】(京極夏彦) | 1996 |
2012/7/16-31 | 歴史・時代1位 | 三国志(吉川英治) | 1940 |
2012/7/16-31 | 歴史・時代3位 | 徳川家康(山岡荘八) | 1953 |
2012/8/1-15 | ビジネス・IT5位 | たかが英語!(三木谷浩史) | 2012 |
2012/8/16-31 | 文芸4位 | 妖怪アパートの幽雅な日常(香月日輪) | 2003 |
2012/9/16-30 | ミステリー4位 | モダンタイムス(伊坂幸太郎) | 2008 |
2012/10/1-15 | 歴史・時代5位 | 奥右筆秘帳(上田秀人) | 2007 |
2012/11/1-15 | ミステリー4位 | モダンタイムス(伊坂幸太郎) | 2008 |
2012/12/1-15 | SF・ファンタジー1位 | 新世界より(貴志祐介) | 2008 |
2012/12/1-15 | SF・ファンタジー3位 | 獣の奏者(上橋菜穂子) | 2006 |
2012/12/1-15 | SF・ファンタジー5位 | フェンネル大陸 偽王伝(高里椎奈) | 2010 |
2012/12/1-15 | 文芸3位 | カジュアル・ベイカンシー 突然の空席(J.K.ローリング) | 2012 |
2012/12/16-31 | ミステリー4位 | カラスの親指 by rule of CROW's thumb(道尾秀介) | 2011 |
2013/1/1-15 | 書籍(学術・語学)5位 | 山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた(緑慎也) | 2012 |
2013/1/16-31 | 文芸1位 | 妖怪アパートの幽雅な日常(香月日輪) | 2003 |
2013/1/16-31 | ノンフィクション2位 | スティーブ・ジョブズI(ウォルターアイザックソン) | 2011 |
2013/2/1-2/15 | SF・ファンタジー1位 | 新世界より(貴志祐介) | 2008 |
2013/4/1-15 | 趣味・生活4位 | おとなの週末 お値打ちの215店(おとなの週末編集部) | 2012 |
2013/4/16-30 | ミステリー5位 | ST 警視庁科学特捜班(今野敏) | 1998 |
2013/4/16-30 | 学術・語学1位 | 自分を愛する力(乙武洋匡) | 2013 |
2013/5/1-15 | 文芸3位 | ハダカの美奈子(林下美奈子) | 2013 |
2013/5/1-15 | 文芸5位 | 藁の楯(木内一裕) | 2007 |
以上になります。
でね。
たかが英語!(みきてぃの)、カジュアル・ベイカンシー(J.K.ローリング)、山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた、おとなの週末 お値打ちの215店、自分を愛する力(乙武せんせの)、ハダカの美奈子。以上いずれかが電子書籍として5万部売れた? mjd?
— unpocketable (@unpocketable) 2013, 7月 3
ええ、だいたいこの辺では気付いていたんです。
日経の電子書籍報道「国内出版各社は本格展開に慎重だった。講談社が昨年、業界に先駆けて新刊本の電子化に着手。販売数が5万部を超えるヒット作が出るなど好調に推移している」という一節にこだわったものの、「販売数が5万部」という言い回しがそもそも。とか、こだわった俺の負け? そうなのー
— unpocketable (@unpocketable) 2013, 7月 3
電子書籍の販売数なら
5万部ではなく5万ダウンロード
って書くわなあ。
「ハダカの美奈子」は紙が30万部出てるってことですから、電子版も5万出ててもおかしくないけど、あの本は日経の記事の主眼「紙と電子版の同時刊行の相乗効果で5万部売れた」「だから今後も版元は電子書籍に力を入れていくであろう」っつーニュアンスにふさわしくないじゃんね。
— unpocketable (@unpocketable) 2013, 7月 3
ええ、もう、もう
何もおっしゃってくださいますな。
日経の5万部云々は http://t.co/IIz6VyTwQn ここの音羽の社長のことば「電子書籍としてアプリで発売したところ5千部が5万部になったという成功事例も出始めている」を適当に持ってきたんじゃねーのか疑惑は解消されることはありませんでした(完)←
— unpocketable (@unpocketable) 2013, 7月 3
あじゃじゃしたー