文庫背表紙2題プラス1
1冊の本の装丁を“外周”限定で考えると
構成要素は「表1」「表4」「背表紙」になりまして
・表1は自由です自由。デザイナーの腕のふるいどころ
・表4は文庫全巻で統一ですから考えなくていいです
・背の色は複数刊行が実現した時点で作者単位で決めますね
というのが、新潮文庫。
これはしかし、各社文庫比較では自由度が高いほうで
角川や朝日、東京創元社などは
表4も背色もレーベル単位で統一されており
1冊ずつ異なるのはつまり「表1」のみ。
さらに元祖文庫・岩波に至っては
「すべて統一デザイン」なため
デザイナーの介入余地は皆無なのが実態。
本を“買う”楽しみには幾分かの
“素敵な装丁へのお布施気分”も込みである、と考える私にすれば
その意味で
岩波文庫はドキドキ感をあらかじめ放棄しているようだし
新潮文庫はワクワク感に満ちあふれている。
のです。が。
「深追い」に続いて
最近「看守眼」が2冊目のラインナップとなり
無事に背色がついた、新潮文庫の横山秀夫。
の背表紙が赤なのが違和感ありありなんですけど!
という、ほとんど言いがかりをつけるための前フリ
にしては長すぎますか、そうですか。
ええ、もちろん新潮の赤背表紙が
松本清張、宮部みゆきと続く国民的(広義の)ミステリー作家栄光色
であることは理解していますが
文春文庫(=黒)が爆発的に売れたのに倣って
続々刊行されてきた、既刊講談社や集英社の文庫が
キレイに背表紙・黒で来ていたのに
−例外的に祥伝社文庫の「影踏み」も実は変な色ですが
(オレンジにベージュが混ざったような)
今後文庫入りする作品点数を考えると
失礼ながら祥伝社はモノノカズではなく−
新潮の果たす役割は重要度を増すのみかと思われ
そんななか、これまで黒だ黒だと推し進めてきていたイメージの連鎖を
あっさり断ち切るかのように、赤って。赤って。
ちなみに
北村薫のベッキーさん3部作第2弾
「玻璃の天」の背色が
これまでの北村薫色(=水色。中公、新潮も同系)から
突如、紫が濃くなって
これじゃー別の色じゃねえか! という件についても
私の憤りはけっこうなものがあったりします。
おら、誰が勝手に変えたんじゃコラ文春。
愛読者のワシに一言のことわりもなく。
あと、佐々木譲を続けて2冊、ハヤカワ文庫で読んだら違和感が。
立てて並べてわかったのが
09年4月以降の印刷は「読みやすいトールサイズ」だとかで
背が高ーいのね……。
こら、迷惑だハヤカワ!
本棚に並べて楽しむ我々の身にもなれ!
まったくどいつもこいつも「責任者出てこい!」