グラマラスカップとは何ぞ (how to piss off loyal base of customers)
JRAのウェブプロモーション企画には
2年という短い歴史しかありませんが
毎度、公開されるたび
ケンケンゴウゴウの騒ぎを喚起するという点で
なかなか成功しているといえる
……んでしょう……か?
かつて、サントリーの
「トリスを飲んでハワイへ行こう」キャンペーンを
企画した山口瞳が
商品名をコピーに含めることに苦心した
と書いていたことを覚えているのですが
つまり、キャンペーン単体で
どれだけ話題を集めたとしても
本来の目的である、商品名の浸透に貢献しなければ
それは満点ではない、という考え方。
JRAのプロモーション企画といえば
CINEMA KEIBA(2010)
優木まおみとデート体験(2010)
好き撮りMY JOCKEY(2011)
My sweet ウマドンナ(2011)
AKBのガチ馬(2012)
JRA補完計画(2012)
馬駆音祭(2012)
云々、けっこう数はありますが、いずれも
コアな競馬ファンに向けたメッセージではなく
まったく競馬に興味がない層を
いかに呼び込むか、という観点で立案されていることは
共通しています。
飛び道具を使った結果
そのクラスタ内でバズったとしても
それが競馬に還元される可能性が限りなく低いという
決定的なマイナス要素を抱えていたとしても
その意味で企画にブレはありません。でした。
ええ、最新の企画、グラマラスカップまでは。
わっかんないんすよね、これ。誰得なの?
おねいさん達をモノ扱いして誰の気を惹こうとしているのか、
いまどきこんな稚拙な道具立で
理論武装もへったくれもない
迂闊な企画を見せられるとは思ってもいなかったので
まず驚いて
次に「本心は何なの」という疑心暗鬼ワールドへ突入。
「たかがゲーム」のBGMにどんだけ気合い入ってんだよ、とか
「たかがバラエティ」の大道具小道具に(以下同)とかね
この企画を通した代理店のプランナーだって
そういう時代を経てきているはずじゃないですか。
競馬に対する興味もなければリスペクトもないのは無論
グラマラスな(……)おねいさんたちへの愛すら
微塵も感じられない以上
なんらかの真意が隠されているはず!
この企画全体からたちのぼってくる空気が似ているといえば……
と、思いついたのが、ヒース・レジャー版のジョーカー。
あの、悪意がつきぬけて虚無に達した境地。
You see, their morals, their code, it's a bad joke.
世間がいう道徳とか規律を、まさか本気でとらえないだろ?
Dropped at the first sign of trouble.
なんかあったら真っ先にそんなのかなぐり捨てられるわな。
They're only as good as the world allows them to be.
I'll show you. When the chips are down,
these... these civilized people,
they'll eat each other.
人間の本性なんてたかが知れてる。
いざ何かが起きれば、
いがみあって殺し合うだけじゃねーか。
See, I'm not a monster.
俺が「怪物」なわけじゃない。
I'm just ahead of the curve.
俺はほんのちょっと先に居るだけなの。
つまり人生全般を「もう終わった」と考えている奴が
代理店だかにいてね
そいつが描く地獄絵図に
おまえもオマエも引きずり込んでやるよわっはっはっは。
という、おかねのむだづかい史に
燦然と名を残す、おそるべき企画。
それがこのJRAの「グラマラスカップ」なのです(白目