編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

ウェブも電子書籍もDVDもCDも編集しちゃうよでもいちばん仕事多いのはけっきょく紙

2012-01-01から1年間の記事一覧

オルフェーヴルを称えよ

今年の凱旋門賞の何が素敵だったかって 「日本競馬界の悲願、凱旋門賞を勝って オルフェーヴルが世界一に」 という陳腐なストーリーが成就しなかったことです。 「世界一」って何だね。 ドバイワールドカップの勝者は世界一ではないのかね。 BCクラシックの…

追悼ツイート、すなわち「追ー悼」についての自己規定

昨日 過去3年弱、訃報に接して思わずツイートしちゃった事例はぜんぶで17件で、ミュージシャン1、スポーツ選手1、映画監督・俳優4、作家5、そしていちばん多かったのは案の定サラブレッド6だったアカウントがこちらになります(MCAと伊良部は、それだけショ…

我が家の小学4年生のお友だちで第一人称が「ぼく」な女子、Yちゃんのお話

はるかぜちゃんこと春名風花(敬称略)が 朝日新聞の需めに応じて書いた いじめヨクナイ文章を 各地の小学校の先生が転載して (たぶん「道徳」の)授業に使っている、と。その際、原文第一人称が「ぼく」なのは 教育的見地に照らしヨロシクナイと 思われるか…

フィーチャーフォンという単語の初出用例を追う(そして疲れる

何日か前、ツイッター上で 「フィーチャーフォンってガラケーのことだよね? いつできたのそんなことば」 「私は2011年5月18日に見かけてますねー」スマートフォンにあやかって、なのか対抗して、なのかガラケーをフィーチャーフォンと呼びたいらしいけれど…

東京ステーションホテルのリニューアルオープンをお祝いする気はある

内田百間読者歴30年なので ひゃッ先生と縁浅からぬステホテの復活は そこそこ感慨深い出来事なのですが ホテルの公式サイトに 「語り継がれるホテル-東京ステーションホテルの歴史-」 てな、あら、ずいぶん上から来たわね。 というノリのテキストを発見し…

イッテQマッターホルン企画にぼくが感心したのは番組本の宣伝が満点だったから。という話

てれび? 見ないですねーおもしろくないしねー。 とかナントカ、つい言っちゃうのが もはや大勢を占める世の中なのでしょうけど ほら、子どもが見るじゃないですか? 付いてたら見ちゃうじゃないですか? たとえば日曜の夜8時とか?ビフォー&アフターは賞味…

ローリングストーン誌が「シド・バレッ度」なる尺度を提示していたのでその日本作家版を考えましたよ

ピンク・フロイドというバンドの名前はご存じですか。 その創立メンバーのひとりに シド・バレットという伝説のミュージシャンがいまして 溢れる才能と引き換えに、ロック界最長といわれる隠遁生活を 40年ほど(……)送った末 去る2006年、60歳でこの世を去りま…

「長体トル」でお願いします (correcting aspect ratio)

iPhone5の縦横比ってオカシイよね? と思って公式の4と5が並んでいる画像を見ていたら むしゃくしゃしてやった。(縦を87.5%に縮小すると正しくなる顔ってあるよね。 トッド・ラングレンとかリック・オケイセクとか) (左が原型で右が天地のみ勝手に87.5%に…

グラマラスカップとは何ぞ (how to piss off loyal base of customers)

JRAのウェブプロモーション企画には 2年という短い歴史しかありませんが 毎度、公開されるたび ケンケンゴウゴウの騒ぎを喚起するという点で なかなか成功しているといえる ……んでしょう……か? かつて、サントリーの 「トリスを飲んでハワイへ行こう」キャン…

Is Sumo-Crisis Over? (相撲協会はもう通常運転ってことでおkなんです?)

Though once described in a big crisis, it looks like sumo has returned its businesses as usual with Harumafuji's promotion to the long-awaited 70th yokozuna.I don't disagree a promotion not at all since the superb Mongolian athlete proved …

本の適正価格を考える(そしてふつうの結論へ華麗に着地する)

話題になっているトゥギャッターの ただ、「読みました」と言いましょう(笑) コメント欄に わたしは、借りて読んでくれたかたに、いくらなら適正だと思うかこっそり聞きたいくらいです。価格のつけかたは書く・売る側の事情です。買ったひとにとってはその価…

印税ということばに含まれる「税金感」に端を発した著者還元策小考

歌人の枡野浩一がツイッターで (もう色んなことをあきらめてしまっている私ですが)(新刊書店より豊富なブックオフの品揃えをまのあたりにすると)(著者名のデータ管理をすれば著者に二次使用印税的なものを払うことは可能なのにと思ったりはします)(無…

著書が市中在庫アリでアマゾン品切れ(TωT)とお嘆きの貴方に

何度か断片的に発言してきたことではあるのですが 俺がアマゾンならプリント・オン・デマンド使っていただければ品切れ概念なくなるんですよ読者から版元にもそう言ってね、って大声で言うんだけど。って定期ポストにも飽きてきたww<Amazon売り切れ、“難民”…

「おもしろい小説」って何や問題(続)

何日か前に3年前の日記を転載したのですが、それは 自分で自分のことを「おもしろい小説」と名乗るって 控えめに言っても僭越ですよ? という主旨のエントリでした。 ところが、来訪者の検索キーワードに 「おもしろい小説」がちらほら見えることに気付いて…

Why I Don't Buy Restoration Bandwagon (維新なんちゃらが「うさんくさい」から「キナくさい」にグレードあがりつつある件)

Historically, Japan is a country which is influenced a great deal by extraneous stimulus, i.e., foreign countries. Reino de Portugal, the 16th century visitor, brought firearms and enthusiasm to some militant people here. Japanese had been…

立川ブックオフ見物

ブックオフ・ウォッチャー修行の旅、 開店直後に行っても真の姿を見ることは案外できない、と 新宿店で学んだので 8/30にオープンした立川北口のブックオフに本日 行ってまいりました。その感想を1.スメらない話 2.デジタルサイネージ 3.複本祭に思ったこと…

a tap dancer, he was (タップダンスシチーが運命の罠の間を華麗にすり抜けているらしいと聞いて)

The US-bred, Japan-trained dual Grade 1 winner, Tap Dance City sprang atop in 2003, winning the Japan Cup by 9 lengths which still stands the record margin of the race. Next year, after blowing up 14 rivals at Takarazuka Kinen, he flew to …

臭イイ話

電車を待ってたら若い女子2名が深刻そうな話をしていたので 他人の会話がすごくよく聞こえてしまう耳を持つ私は 彼女たちと背中あわせのベンチに座りながら 聞くともなく聞いておりました。 「なんかねえ、あれよ」 「何」 「顔面にケーキぶつけるやつあるじ…

ベビーカー議論でいつも置き去りにされるぼくたちの意見も聞きやがれください

・電車に乗るときはベビーカーをたため。 ・ベビーカーを使うほうの身になって言ってんのか。 みたいな不毛な談義がいつまでも続いて平和な感じの昨今ですが Twilog確認したら2010年3月に1回 さいきん電車とかバスの中でベビーカーをたたんだら罰金、みたい…

日本語を英訳してシャレオツ計画。のハードルは高く険しい。または「ブラック・ジャック」の英訳はかっこいいっす

新刊出ると必ず読んじゃう作家の未読短編集を買ったら 作品のクオリティーとは別のところが気になりました。 収められている短編それぞれの作品タイトルが 装丁的な意味合いで(=深い意図は感じられない、の意) 英訳されていたのですが、その訳出が…… ひと…

「これ以上、おもしろい小説があったら教えてください」?

書店店頭で見かけた 某書籍の帯に発見したことば 「これ以上、おもしろい小説があったら教えてください」ムシのいどころのせいか、猛烈に引っかかったので しばらく帯をにらみつけてしまいました。 挙句、日記にも書いちゃう。 ・洒落でんがな。笑って見逃し…

「こんな××見たことない」的なフレーズにもにょる日々

自分のツイートなんで遠慮なく引用しますが 今年の2月某日、某紙朝刊全5段広告を見て それまでなんとなく控えていた感想が噴出しちゃった(イヤン ときの模様がこちら。 「ジェノサイド」をしのぐ「グレイヴディッガー」。って宣伝文句としてのモラルを逸脱して…

鞍馬天狗全作品レビュー完了の記 付・作品年表

夏休みの自由研究に 鞍馬天狗の全47作にレビューつけていこうず。 と思い立った時点で未読作品がけっこうあったので ゴールまでの道は小学生の自由研究並みには険しいものでした。 終って覚える解放感は これでようやく鞍馬天狗以外の本が読める というはな…

1.鬼面の老女

初出:1924年ポケット 参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一) 時代設定:1862年3月 「戌三月」 (幕末で十二支が戌の西暦は1862年) 中公文庫(時代小説英雄列伝)叢書の1冊として刊行されている 「鞍馬天狗」は編者・縄田一男による長文解説も充実…

2.銀煙管

初出:1924年ポケット 参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一) 時代設定:1863年6月 「その後まもなく、西郷吉之助が国へ帰って月照と薩摩潟に投身した」 「近藤勇が入京したという噂がある」 「京の町の家々の甍を濡らしていた五月雨が、思いがけず…

3.女郎蜘蛛

初出:1924年ポケット 参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一) 時代設定:1863年7月 「その後、新撰組の近藤はどうしている」 (結成間もない新撰組のイメージと「1.鬼面の老女」からの整合性を図って1863年) 「朝夕などの空の冴えた具合は七月の末…

4.女人地獄

初出:1924年ポケット 参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一) 時代設定:1867年9月 「名月までにはまだ幾日か間はあったが、初秋らしく」 (「5.影法師」との連続性に鑑みて1867年)作者がタイトルの「女人地獄」にどの程度の意図を込めたか まった…

5.影法師

初出:1924年ポケット 参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一) 時代設定:1867年9月 「いったい、今日は幾日だと思っていなさる」「八月の二十日だろう」...「そりゃ、昨日だぜ」 「王政復古の大号令が遠からず出るのじゃ」 (旧暦8月は新暦9月)最…

6.刺青

初出:1924年ポケット 参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一) 時代設定:1867年10月 「もう、とっくに御承知でしょうが例の御札騒ぎです。 祇園の祭がすむかすまないかに始まったんですから、なんでも夏ごろの話ですが」 「前の月も押し詰まった二…

7.鬘下地

初出:1924年ポケット 参照:朝日文庫版(1)(1981年12月、解説福島行一) 時代設定:1867年11月 「明るい中にうら冷たい秋の日射が往来を照らしていた」 (「6.刺青」「8.香りの秘密」との連続性により1867年と推定) 鞍馬天狗シリーズ初期の8編はなにかと扱わ…