編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

ウェブも電子書籍もDVDもCDも編集しちゃうよでもいちばん仕事多いのはけっきょく紙

読書

「こんな××見たことない」的なフレーズにもにょる日々

自分のツイートなんで遠慮なく引用しますが 今年の2月某日、某紙朝刊全5段広告を見て それまでなんとなく控えていた感想が噴出しちゃった(イヤン ときの模様がこちら。 「ジェノサイド」をしのぐ「グレイヴディッガー」。って宣伝文句としてのモラルを逸脱して…

鞍馬天狗全作品レビュー完了の記 付・作品年表

夏休みの自由研究に 鞍馬天狗の全47作にレビューつけていこうず。 と思い立った時点で未読作品がけっこうあったので ゴールまでの道は小学生の自由研究並みには険しいものでした。 終って覚える解放感は これでようやく鞍馬天狗以外の本が読める というはな…

フリーランスとして生きる@幕末

1943年に週刊朝日で連載された「天狗倒し」 および 1945年6月〜10月に東奥日報、佐賀新聞ほか地方紙で連載された 「鞍馬天狗敗れず」 という2作品は 生麦事件(1862年8月)直後からのおよそ半年間の横浜を フリーランスのジャーナリストを追うことで 浮き彫り…

鞍馬天狗の年表作成が楽しすぎて困る件

読者歴30数年という、 自分史上最長・最古の愛を 鞍馬天狗というおじさんに抱いている私ですが ここ数週間で、急激に愛が加速してるんです。 理由は……とくにないね(キリッ

小説の果たす役割を思う。奥田英朗「沈黙の町で」

新聞の朝刊連載、という形態で400数日にわたって続いた 奥田英朗の小説「沈黙の町で」。 あと2回で完結する、というタイミングで こうしてなんか書こうとするのは とりあえず最速レビューの座を手に入れようという魂胆がバレバレ ……ですけど……ですけどっ、こ…

不肖の弟子による壮大な復讐劇

山本夏彦のコラムを拾い読みしていたら ずいぶん中村武志の肩を持つねー、という1篇が 目に留まりました。その次の日ぐらいに、Q&Aサイトで 「内田百間の文庫は旺文社版と福武版のどちらが手に入れやすいですか」 的な質問が上がっていて お、セレンディピテ…

奥田英朗の「無理」はそこまで無理でもなかった

「邪魔」と「最悪」 相変わらず、どっちがどっちだったか 思い出す気もなく書き始めていますが 奥田英朗といえばその2作品! を挙げたい気分が常にある読者でごんす。 文庫化最新作「無理」も上述2作品同様 いわゆるグランドホテル形式、 複数主人公がそれ…

時代小説としての「B型平次捕物帖」

フィクションを摂取する行為って、 「非日常世界に自ら飛び込むこと」ですよね。つまり、慣れてないひとは入口でつまづくし 慣れてるひとは敷居を飛び越していることを忘れる。オペラとか歌舞伎とか、わかりやすすぎるほどわかりやすい 「とっつきにくい」ジ…

いしいひさいちムックの読後感がなんともいえない

河出書房新社の「文藝別冊」シリーズに いしいひさいちが登場、というので 絶対アタリだろこれ。と安心して発売日を待っていたら 前日から購入を報告するひとびとのツイートが。 思わず 文藝別冊いしいひさいち、一応明日が発売日ってことになってるんだから…

結城昌治の既読タイトルが30冊になった模様です。

エントリ名が伝聞チックなのは 1冊ずつの記憶があいまいだから。いや、自分の物語記憶力が衰えていることを否定するつもりはさらさらありませんが わりと同工異曲なお話の多いひとでも 1冊ずつの区別がつけやすい作家と そうでない作家がいるんですよ。(結…

本屋大賞に上手にケチをつけたやつが優勝? なのかおい

乙川優三郎の とある作品を読んでいて、思ったことが 最近、頭から離れませんで。つまり、先生 相変わらず すばらしい作品ですねえ、 最初の読者として 私たいへん感服しました。 けど、あれ? えへ (自分史上最高の笑顔で可愛いらしく) 藤沢周平っぽすぎな…

140字におさまらなかったRT @ToshioOkada 読んでない本は資産ではなく、負債なんだ

Twitter上のとあるつぶやきを 発言者である岡田斗司夫本人が ブログ(ゼネラル・プロダクツ)エントリにまとめていますが その感想−というよりは、 本当は私もtwitter上でさっくりRTしたかった。 というところから、話は始まるんです。 「本を買う」のは円とい…

宮部みゆき「孤宿の人」文庫化まで4年以上待った甲斐あってたいへん傑作な件。

宮部みゆきの時代小説を語るとき 読者の私の頭に常にあるのは たとえば人情という概念を小説にしようとするとき 現代日本が背景だとそらぞらしくなってしまう。 人情が最早フィクションの中のものになってしまったから ……という主旨の、作家自身の述懐です。…

「知っている」と「知らない」の差

今野敏「安積班」シリーズを なにかの義務のように、4日で10冊読んで思ったことは・そういうふうに読むもんじゃない ・テレビ版見たこと無いけど佐々木蔵之介はナイスキャスティング ・その他のキャスティングについてはノーコメント ・でも須田=塚地は悪く…

怖いよー永井するみ「欲しい」

日曜18:30に「サザエさん」。という習慣を失って久しい私は 日曜デイタイムはTVで競馬ウォッチ。という習慣も 徐々にではありますが、薄れつつあって だから、その日U局の競馬中継を見ていたのも そして裏番組のザッピングをしていたのも 悪夢のような偶然が…

文庫背表紙2題プラス1

1冊の本の装丁を“外周”限定で考えると 構成要素は「表1」「表4」「背表紙」になりまして・表1は自由です自由。デザイナーの腕のふるいどころ ・表4は文庫全巻で統一ですから考えなくていいです ・背の色は複数刊行が実現した時点で作者単位で決めますねとい…

それは読者の仕事じゃないよ。

Googleブックプロジェクト賛成を表明している 数少ない作家、佐々木譲。まもなく公開される映画「笑う警官」etc.の “警察小説”によって読者になった私からすると キャリア30年の大ベテラン作家 (日本冒険小説協会「大賞受賞」なんと3度!) ということがそ…

遅ればせながらポット出版の2冊を読了

出版コンテンツ研究会「デジタルコンテンツをめぐる現状報告」 永江朗「本の現場」 いずれも 私のように出版とウェブと、その両方の端っこに 腰をおろしている人間にとっては 「現状報告」あるいは「現場」というべきもので ことさら耳に新しいことが書かれ…

高遠ブックフェスティバルに行かなかった記

ブックフェスティバル。 ということばの響きだけで思わず浮き足立つのは 本好きな同類の皆様と まったく同じだろうと思うわけですが 去る8月末の2日間に開催されたイベントは (公式サイトの概要によると) このイベントはブックフェアやブックフェスティバ…

ある「本のオビ評論家」の日記から

ああ、ええ話や。と思ったので引用。悪徳書店員日誌II「売れるオビ」 http://akuto9book.exblog.jp/12176190/第55回江戸川乱歩賞受賞作『プリズン・トリック』遠藤武文(講談社)がよく売れている。もともと乱歩賞は他の新人賞より売れる賞ではあるけれど、…

編集者もタイヘンだ

宇江佐真理の小説が杉浦日向子の漫画を元ネタにしている件は 一度エントリーにまとめて http://d.hatena.ne.jp/lafs/20090727/1250902315 心の整理はついた・つもりだったのですが 「髪結い伊三次捕物余話」シリーズを 第1作から読み返して、つい気になった…

「星新一時代小説集 天の巻」にあっけにとられる。の巻

昭和40年代生まれの例に漏れず 星新一ショートショートの洗礼を私も小学生時代に受けました。 それはたとえば 空からおたまじゃくしが降ってきた、という ニュースを聞いたとき、最初に思い出したのが 「おーい。でてこーい」という ある日突然出来た深い底…

スポーツ小説の皮をかぶった……なんだろう、エンターテイメント小説か

3年前、読書界が ランナー小説ブームにわいていたことをご記憶でしょうか。単行本がどれだけ話題になろうとも 文庫落ちまでじっと待つ。が基本の私、 いらいらしながらその様子を見ていたわけですが 桂望実「Run! Run! Run!」も文庫化されたので ようやく、…

宇江佐真理「おちゃっぴい」表題作は杉浦日向子「百日紅 巻3ノ2−愛玩」の剽窃にあたるか。問題

ある作品が盗作か、はたまたオマージュか、 その境はどこにあるのか。 というようなことを考えるきっかけが mixi杉浦日向子コミュの某トピックで最近あって 興味深かったのでいろいろ調べてみました。 と、早速 山下達郎のラジオ番組(2000年4月)中に 秀逸な…

痛風デイズ

ただいま絶賛進行中の仕事で あーあーもー。 みたいなことが連発されていると 28歳の誕生日の発症以来、もう10年越しの付き合いであられる 痛風サマがひさびさに登場の予感。 基本的人格がむっつり。しんねり。 の私としては痛風なんすよ実は。というネタは …