編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

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うっかり見た映画「300<スリーハンドレッド>」を皮切りに

映画「ウォッチメン」の監督
ザック・スナイダーが紹介される際、しきりと
“あの「300」の”
という文句が付いているのが気になっていたので
意を決して見てみました。

こう見えてバカ映画は嫌いではないのですが
見終わってから、誰かが言っていた
「プロレスラーが怒鳴りあっているような映画」
という説明は、ま、
当たらずといえど遠からずだな、と思ったり。

そして、どうせならこのスタッフで実写化すべきは
北斗の拳」じゃねえのか。と思ったのが運の尽き。
つい文庫版全15冊を読み返し始め……
そこでやめときゃいいものを
おお、カイオウって居たなそういや。というところから
つい、界王さまが懐かしくなって(笑)
「ドラゴンボール」単行本版全42巻に移行。

どこでやめればいいのかわからない、という意味では
ポテトチップスの袋みたいなもんで
「ええい、最後まで食えばなくなるんだろ」
って大学生じゃないんだから、俺。
おかげで読みかけの小説とか
ほかにも借りているDVDとかが停滞して
まったくエラい目にあわせてくれたよ、「300<スリーハンドレッド>」
というお話です。

映画そのものは……
それこそ「北斗の拳」じゃないですが
誰かの・何かの・決めゼリフを
いかにカッコヨク見せることができるか、というところに
重点がおかれるべき作品だけに
その“セリフ決まった率”がそんなに高くないのは残念。


そんななかでもお気に入りを挙げるとすれば
レオニダス率いる300人のスパルタ軍
vsクセルクセス率いる100万人のペルシア軍
(って映画の説明には書いてあるのよ)
の勝敗を決定付ける
“裏切り行為”があるのですが
その裏切り者、エフィアルテスに向けて
レオニダスが言うセリフ。
"You there, Ephialtes. May you live forever."

うむ。悪口としての「長生きしろよ」は
なかなか陰影に富んでいて、いいな。


ちなみに、続けて見た「告発のとき

2004年11月、息子が軍から姿を消したという不穏なニュースが告げられるた退役軍人のハンク(トミー・リー・ジョーンズ)は妻(スーザン・サランドン)を残し、息子が帰還したはずのフォート・ラッドへ向かう。地元警察の女刑事(シャーリーズ・セロン)が彼の捜索を手伝い、一歩一歩真実を解き明かしていくのだが、そこには父親の知らない息子の"心の闇"が隠されていた。そしてこの事件に裏に潜む真実は、ハンクがこれまで信じてきていた全世界を揺がすほどの衝撃的な事実となる。

喜怒哀楽の“哀”が切々と迫る、
しかしそれを淡々と描いた作品で
まさに「300」の対極といえるわけですが
(まさかこの2本をハシゴするバカがいるなんて。俺か)

ここにも実は
紀元前エピソードが挿入されていたりします。
かたやテルモピュライの戦、紀元前5世紀。
こちら、ダビデがゴリアテを倒した戦い、紀元前10世紀。

取り上げられているのが共通して
「強大な敵に対し、なんて持ち合わせの少ない僕(たち)」
なところが興味深かったですね。

なんの因果か幼い男児を寝かしつけて
絵本を読むハメになるトミー・リー・ジョーンズ
「きみの名前、デビッドか。その由来は知ってるか」
と語り始める
旧約聖書のエピソードとして登場するのですが
そのシーンに限らず、作品の魅力は
−個人的には−
邦題が意味するような“大きな”テーマはさておき
親子の絆という、
見えもしないし言語化すると陳腐になる、
扱いにくいモノを
これ以上はないほど、明らかに観客に届けているところ。

事故死した長男に続いて
次男も失ってしまった母として、
スーザン・サランドンが漏らすことばたるや……。