編集者が編集するのは本だけじゃない! ○○もだ!

ウェブも電子書籍もDVDもCDも編集しちゃうよでもいちばん仕事多いのはけっきょく紙

クレしんが提示する家族礼賛とかそういうアレがアレなオレのほうがたぶんアレ

つい先日、劇場版最新21作目の公開にあわせて
20作目「嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス」が
地上波で放送されていたん。

ふとした心の迷いから
数秒間チャンネルをあわせたのですが
たまたまその時、流れていたセリフが野原ひろしの
「俺たちは家族だから」ポジティブ発言で

そこで、ほぼ4年前に某所に書いた感想を
コピペってみたくなりました。という話。

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リアル導線という、デジタルの見た夢

たぶん書いたひとの本意じゃないところ
触発された私。

  ヨーカドーはやばい

というか、ヨーカドーより
セブンのほうが
包囲網を着々と築き上げやがる感が強い気がするのは
私だけではないと思うんですよね。
なにしろドミナント戦略でっしゃろ。
うちの近所に2軒、
駅までの間の空白地帯にまた1軒、
別の駅近くにもよく考えたら2軒(ry

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「俺のライフログを経由して俺をホメてくれ」アプリ雑感

■日本酒専用の記録アプリ「SakeLover」
飲んだ日本酒の銘柄や感想、飲んだ場所などを記録できるiPhoneアプリが登場。
日本酒専用の記録アプリ「SakeLover」 - ITmedia ニュース

何を飲んだかっていう記録だけなら
エクセルに購入店と日付と銘柄はメモして
味に関する感想などはツイートするようにしている俺に
死角はなかった。

という話はありつつ
読書記録も
音楽再生記録も
同じことだと思うのですが

やっぱり
・こんなお酒を飲んでる俺
・こんな本を読んでる俺
・こんな音楽を聞いてる俺
を見てくれ。
そしてセンスの良さをホメろください。

というようなニーズはあると思うわけです。
や、他人事ではなく私にもありますしね。

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Gmailの「迷惑メール」アルゴリズムの変更だか暴走だかが起きたのが4月1日じゃなくてよかったですね。

去る3月29日(金)


とツイートしたのですが
その後、とくに本家からの発表もないまま
本日、エイプリルフールを迎え

とツイートした。んです。が。

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北上次郎「活字競馬」雑感

■発売を知って盛り上がる俺ツイート




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ぼくはこんなふうに日本酒を買ってますです

時事ネタに反応。

日本名門酒会 公式サイト - 「浪花正宗」に関するお詫びとお知らせ 日本名門酒会 公式サイト - 「浪花正宗」に関するお詫びとお知らせ このエントリーをはてなブックマークに追加

「日本酒」とひとくちに言うけど
日本名門酒会公式サイトにあるとおり

1970年代、「大量生産」「大量流通」「大量消費」という社会背景のなかで、「良質の日本酒」が市場から消えようとしていた時代がありました。

これ、決して過去形ではなく
いまでも紙パックに入ってるようなのが
「日本酒」だと思ってるひとは
実際、侮れないぐらい居るわけですよ。

かと思えば
久保田の万寿バブルとか(あったねー
最近では
一ノ蔵や獺祭が
ん? と思うような取り上げられ方をしてみたり

情報過多な世の中ならではの
踊らそうとしよるなあ。
あるいは
えらい勢いで踊ってはるなあ。
みたいなことが、ありますね。

ただ、いかんせん今回のニュースは
工業製品として自称・日本酒を生産している
商業蔵元であれば
なんということもなかったものが
「意識の高い(はずの)蔵元」
による行為だったことが
衝撃だったのではないか。

活動の基本は、日本酒の本来あるべき本質を守り続けて良酒を造っている心ある蔵元と、意欲的で熱心な酒販店に呼びかけ、良酒を求める消費者に対し、満足できる美味しい日本酒を届けようという運動のネットワーク作りです。以来、35年の歩みの中で、日本酒復興を目標に掲げ、流通のありかたを見直し、蔵元・酒販店・消費者への啓蒙を含めた様々な活動に取り組んできました。

つい、名門酒会の引用をしてしまうのは
加盟している酒蔵が好きというより(ェ
生産者と流通、小売ひっくるめて
より良いものを目指そうとする理念がすばらしいし
ユーザーの啓蒙も必要だし、と
自ら気付いて謳うあたり
業界は違うけど
参考になるねえ。と
日頃から思っているからなんです。

熱心な酒屋さんのプレゼンテーションは
マスコミに踊らされるのとは
まったく異なる次元で
心が躍るものね。

たまたま
浪花なんとかいう銘柄を
気にしたことがいまだかつてなく
今回のニュースもその意味では
対岸の火事でしかないのですが

それは本当にたまたまであって
行きつけの酒屋さんで
POP立ててススメられていれば
買っちゃってた・かもしれません。

うむ。以上、
あくまでも前フリ(=恒例とはいえ、長い

真面目にお酒を買うようになったのが
せいぜいここ数年というぼくですが
ふだん
どういうふうにお酒を選んでいるかを
書いてみたい。
それが本題なのでした。

巨万の富があるわけでもなく
また
高い金を出せばうまいの買えるに決まってんじゃん。
おいしいのにお値打ち!
なお酒を発掘してナンボでしょ、という
あなたにもある(かもしれない)
厄介な性分を
余はいかにして満足させつつあるか。

ちなみに昨年飲んだ日本酒を挙げてみましょうか。
いいや、挙げさせてくれ。お願いします。
一ノ蔵 特別純米生原酒にごり酒
小左衛門 純米酒 初のしぼり
鳥海山 純米吟醸生原酒おりがらみ 即詰生原
大山 初しぼり新酒 本醸造
東鶴 特別純米無濾過生酒
乾坤一 特別純米辛口
麓井 山長 きもと純米吟醸
浜千鳥 純米あらばしり
白瀑 どPink
大信州 別囲い純米吟醸番外品
日高見 純米
出羽桜 桜花吟醸火入
長門峡 ささにごり 純米原酒
上喜元 純米 出羽の里
ダルマ正宗 辰年限定ブレンド長期熟成古酒
澤ノ井 辛口にごり酒
綾花 純米 瓶囲い
超超久 氷室長期貯蔵無濾過生原酒 18BY
大盃 純米
大信州 秋の純吟
辰泉 23BY
鳴瀬川 純米 
会津末廣 山廃ひやおろし純米生詰
久礼 辛口純米
初孫 純米吟醸 秋あがり
七本槍
代々 純米新酒しぼりたて本生
篠峯 直汲無濾過
伝心 しぼりたて生酒
羽陽一献 純米吟醸南極氷仕込み極本生

ちょうど30本か。
ぜんぶ四合瓶で
いちいちお値段書きませんが
予算1400円縛りを破ってはいない・はず。

・家飲み
・気分によって冷やだったり常温だったり
 ぬる燗だったり
・可能な限りいろいろなお酒を試したい
・2011年は個人的に東北支援年だったので
 2012年にもちょっとだけその名残りが
・(篠峯おいしいよねえええ)←いまのいちおし

で、これらはどう選んだか。
と考えると、実は本を買うときと同じでした。

■どこで買うか


世の中
「良い本屋さん」があるように
「良い酒屋さん」がある。
まずはそれを見つけること、重要です。

我が家は多摩ニュータウン東部にありまして
 多摩市 小山商店
 府中市 柏屋
 狛江市 籠屋秋元商店
 川崎市麻生区 飯草酒店
 町田市 酒舗まさるや
だいたいこの5軒をぐるぐる巡回しているうちに
1年が過ぎてしまう。

どれも決して大きな店構えではないけれど
ベストセラー並べとけ、な
画一化された店頭では味わえない、
それぞれのお店のクセが如実に現れた品揃え
行くたび明快に推す銘柄が異なる、という
手間ひまかけられた棚。
などなど、書店好きクラスタなら
おわかりいただけると思いますが
棚の前に立って見ているだけでも楽しい。

■直感


基本ジャケ買いですよJK
飲んで決めるわけにはいかないんだからさ。

まあ、本の奥付を見る感覚で
原料米や精米歩合は必ず見ますけど
なにしろ外側から知り得る情報は限られるので
ラベルやPOPを熱心に見て
予算と相談のうえ
最終的には直感に任せて
エイやで買う、と。

ということは
本を買うときより
馬券を買うときのほうが近い?

イメージで買うと
馬券的にカスリもしなかった際の
言い訳もあらかじめ用意できていて
イイ感じ、みたいな(何の話をしてますか俺

■自分メモ


そういうわけで、飲んだら一応
感想をメモっておくのが
次走の買い時を見極めるための……
って完全に競馬の話になっちゃってるじゃん。

あとまあ、メモ書いてるときは
漏れなく酔ってるときなんで
「うまい」
とかロクでもない感想しか残ってない件。




400年前の南有馬町乙。で起きたのはほんとうに「昔の話」か■飯嶋和一「出星前夜」

出星前夜 (小学館文庫)

出星前夜 (小学館文庫)


飯嶋和一「出星前夜」が
大仏次郎賞を受賞、という報に驚いたのは
そうか、もう4年も前のことですか。

驚きの内訳は、そりゃもちろん
「もらってくれるんだ!」
というものですよjk。

思えば大仏次郎賞も
ずいぶん受賞作にブレのある文学賞
(とwikipediaを見ながら)
・功労賞的なニュアンスが強い年度
・なんとなく話題になりそう。って理由で
 授賞決めてない? と疑われるような年度、
・誰からも文句出ないことがコンセプトですか。
 と言いたくなる年度

云々
大仏次郎の愛読者を
かれこれ30年以上、続けている身としては
微妙な笑いが
片頬に浮かばないではいられません。

そもそも大仏次郎という名前を知る読者が
ほぼ居ないこのご時世で
依然として、その名を冠する文学賞
存在し続けているのも
ある意味で作家・大仏次郎
「実力」の証左ではあるのですが

小説、ノンフィクション、歴史記述など幅広い分野で活躍した作家・大佛次郎氏は、朝日新聞紙上に「天皇の世紀」を連載中に死去。その業績をたたえて、1973年に創設された「大佛次郎賞」は、その形式のいかんを問わず、優れた散文作品に贈られる。

「出星前夜」読みながら思ったのは
これほど大仏次郎賞という賞にふさわしい作品も無いし
この作品に賞を謹呈する光栄に浴したのは
むしろ大仏次郎賞にとってめでたい。
ということでした。

・読者を作品世界に誘い込むパワーとか
・その世界に充満する“空気”の濃密さが
 まがまがしいまでに提示されることとか
・この作品が評判になって……という類の色気を
 まるで感じさせない作者のストイシズムとか

“作家として完成されてからの大仏次郎”と
飯嶋和一に共通するものは多い、と思うのですが
作品単位で似ているものを挙げるとすれば
天狗倒し」~「鞍馬天狗敗れず」ですかね。
(この2編、作品としては別モノながら、
 鞍馬天狗というフィクショナルなキャラクターを
 生麦事件という史実に投入して
 彼の視点から歴史を見つめなおす試みとして
 明白につながっている連作です)

「出星前夜」が取り上げた「島原の乱」も
めでたしめでたしでは終わらないことを
(とwikipediaを指しつつ)
読者の大半は知っているわけですから
この先、どうなる? という興味ではなく

21世紀に生きる我々が
その時(17世紀初め)
その場所(長崎県南島原市)に居たら
何を感じたのか、どう行動しただろうか。

登場人物かわいそー気の毒ぅぅ
的な、他人事としての感想ではなく
読者自身の内側との対話を促して
読み終わるころには
夜半しんしんと降り積もる雪のように
「うおおコトバにならない思いが
 いつのまにか心の中に
 溜まってるんですがああ」
と、ブログエントリーを
書いたりしたくなるわけです←イマココ


そうだ、あやうく言い忘れるところでしたが
作品冒頭に当時の島原の地図をつけ
上下巻にしてもおかしくない700ページを
1冊本として刊行した、小学館文庫は
実にすばらしい仕事でした。
××文庫だったら絶対こうはならないからなッ!

元洋楽少年の、おーるもすと・のーみゅーじっく・らいふな日々

某スーパーポイントの
期間限定ポイント消費に
DVD/CDレンタルを使うことが多いのですが

逆に言うと
某レンタルのカタログにあるもの以外
CDを聞く機会もあまりなく……
でもまあ
アフリカのミュージシャンたちによる
U2トリビュート盤とか
いしいひさいち描く吉川ロカ嬢が好きなあまり
ファドを聞いてみたりとか
そうでんなー。ぼちぼちでんなー。
というぐらいの音楽生活でござる。

そんな私が
最近聞いたなかで
記憶に残ってる2タイトルといえば。

シー・マイ・フレンズ

シー・マイ・フレンズ


Rave on Buddy Holly

Rave on Buddy Holly



レイ・デイヴィス(68)の根性悪い小銭稼ぎ感が
ジャケット写真からも漂ってくる前者
(じゃなきゃ、なんでそんなに口角が歪んでるのよ!)

バディ・ホリー好き好き大好き超愛してるを高言する
ポール・マッカートニー(70)の
好き勝手やってますな後者
バディ・ホリーの出版権持ってるポール爺さんが
 みんなでトリビュート出そうぜ俺はこれやるー。
 って言ってる感あふれる作品でね)

うむ。老人力が止まらん。
いや、ミュージシャンの、というより
聞いてる俺の側の老化現象、って意味ですよ。

演ってるほうが
セルフカバーという名の演芸活動をおこなおうと
トリビュートという名の余暇活動をおこなおうと
そこには経済的な諸事情とか経済的な諸事情とか
(あるいは経済的な諸事情とか)
エリック・クラプトンとか)
(おいクラプトンを貶める気か)
いろいろあるんでしょうから

御老体を責めるべきに非ず。
聞く者が自ら心がけて
ぴちぴちしたみゅーじっしゃんの音を
浴びるべき。
なのだ。←自分に言い聞かせている趣

  そもそも上記ふたりの御老体に関していえば
  働かなくても食えるだけのものは
  (たぶん)あるわけで
  ベテランならではの遊び心の発露
  と捉えるべきだと思うの。
  ※即ち「なんか笑える」というツイートにつながる

しかし
いざ、知らない分野に手を出すべ。
って思ったとき
音楽ってけっこうハードル高いよねー。

いまどきのことだから
試聴音源アリマスっていわれても
常にPCの音を消している奴だからなあ俺。

そう考えると
本屋さんの「店頭で手にとって考えることができる」
書籍のアドバンテージは大きいですな、
とおなじみの結論に。

ハリセン箕輪ネタから「過去ツイートの検索が可能に」という話を経由して編集という仕事のなくならない感に思いを馳せ(ry

ハリセンボン好きなんで目についたんですが。
ハリセン箕輪交際4年で破局「仕事しか」 - 芸能ニュース : nikkansports.com ハリセン箕輪交際4年で破局「仕事しか」 - 芸能ニュース : nikkansports.com このエントリーをはてなブックマークに追加

前から思っていたんですけど
「初恋人でもあった文筆業の男性(42)」
ってこの肩書さー。

文筆業という、
顕名性と不可分な職業なのに
本人希望でそうしているとしか思えない
無駄な匿名希望感。

この、半笑いを誘うおかしみは
まさにこの文筆業の男性()の
武器ですよねえ。

それにしても弱そうな武器だは。
と多大なるシンパシーを抱かずにはいられません。

そして頭をよぎったのが
ハリセンボンがM-1グランプリ決勝で最下位に終わった、
その翌日
彼がぼそっと投げていたツイートでした。

続きを読む

CAMPFIREでSUCCESSする方程式はどこにあるのか

それぞれに知名度とファンを持つひとたちが
それぞれにすばらしい内容を打ち出して
クラウドファンディング企画をやるじゃないですか。

ところが、そのリアクションに
けっこうな温度差があったりするじゃないですか。

それは何でなんだぜ。

と前々から気になっていたので
ちょうど、下記3件の企画が目に入ったので
比べてみました。

人名 企画名 目標金額 達成まで パトロン数 twフォロワー数 企画いいね数
うめ スティーブスf:id:lafs:20130130143120j:plain 50万円 2時間 293 10,274 747
西野亮廣 絵本原画展inニューヨークf:id:lafs:20130130143119j:plain 150万円 1日 323 39,805 640
安野モヨ子 バッファロー5人娘f:id:lafs:20130130143118j:plain 100万円 14日 66 1,892(本人公式)
1,488(エージェント)
527

Twitterフォロワー数や
企画いいね数は
画像キャプったときのものなので
あくまでも規模「感」の比較に過ぎませんが

ここから得られるる教訓は

・人の「いいね」を信用してはいけない
・ツイッターの拡散力は信じていい気がする
・「スティーブス」は参考にしちゃダメ!

そんなところですかねえ。
われながら物足りない結論!

午後2時プロジェクトのページがオープンすると、開始20分でいきなりWeb出版社の星海社が10万円を支援し、本作の連載優先交渉権を獲得した。その後も出資者は後をたたず、1時間後には20万円を突破、2時間10分後の午後4時10分には早くも目標支援額の50万円に到達
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1211/21/news138.html

あと、本題と関係なくて申し訳ないんですが
安野モヨコの直筆メッセージは
「漫画家の手書きネームにおける誤字」
コレクションに加えたいので
修正しないでいただきたいです……。

まとめマイスターへの道は遠い

自分は雑誌クラスタではないので

  定期的に雑誌を読む習慣が無くなって久しいし
  作ってたのなんかもっと大昔のことだし
  それもほんの一瞬だったし

雑誌というフォーマットはどこへ行くんだろう。 - Togetter

このまとめは
純粋非公開の自分用メモとして
ツイートを取得していたものです。
(元発言がちょっと前なのもそういう理由)

ただ、並べはじめるとつい面白くなってしまって
興味を持つひとがほかにいるかも。
と思い出したら公開したくなる病(ただし軽症)
なので

当事者たる@IKEDA_MIKIさんはじめ
引用者各位に許諾を取る前提で
まとめを作成して
順番逆やがな。と思いながら
その後、依頼ツイートを送りました。

続きを読む

女子による女子のためのサイトを覗くのがたのしくないおっさんがいようか

It Happened To Me: Lady Gaga Tweeted My Poetry Video About Eating Disorders (摂食障害をテーマにした私の朗読動画がレディー・ガガに紹介されてなんかエラいことに)
っていう記事を昨年末
目にしたときにも思ったのですが

オンラインメディアの「xoJane」
が面白くて
定期的に訪問せざるをえない。

そうねえ
女子が集まって話しているのを
真面目な顔で立ち聞きしているおっさん(=俺
という感じですね。
申し訳ありません。

「あなたがイケてることを証明するのにオトコは要るのか問題」
「パートナーとの“そういうんじゃない”ボディタッチ」
「付き合うなら絶対3股。がオヌヌメな理由」
「彼氏の差別発言にどう対応すべきか」
「そろそろ言っていいよね。クラウドファンディング、ウザい」

ライターからの投稿によって成立するサイトなので
当然、記事ごとに
クオリティーのバラつきはあるのですが
某なんとか小町に一定の様式があるように
このxoJaneにも
サイト固有のムード(またはスタイル)があります。

  下世話だけど下品じゃない
  頭の回転の早い女子トーク。
  というような。

で、そうした空気作りに
決定的な役目を果たしているのは
冒頭でも引いた
ホントウにあった話(It Happened To Me)シリーズ
に時折見られる、
硬軟「硬いほう」の投稿。ではないか、
という仮説を立てているところ。

性風俗産業で十年働いてたけど質問ある?」
トランスジェンダーだからってクビになった件」
「15歳の私は19ヶ月間、誘拐監禁されていた」

うん。
そういう系もけっこうあるんです。
「内緒で頼まれた業務用ドキュメントを編集して
 納品した後に大人のおもちゃサイトに飛ぶリンクが
 埋め込まれてるけど何でって聞かれて死にたくなった」
とか
「私の大事なところにこれぐらいのデキモノが()」
とか
そういうのばっかりじゃなくてさ!

「月刊食堂」という専門誌(今もありますね)を買って
業務用冷蔵庫の広告だの
サプライチェーン・マネジメントなんて
見たことがないカタカナの並ぶ特集の向こうに
自分の知らない世界-の“広さ”-
を覗いた中2のころ(!)の経験が
私の原点にはあって
  メディアと読者の関係は
  「ねえこれ知ってる?」
  「知ってるー」
  「いいよねえ」
  「ねー」
  というような
  ホームグラウンド≒身内感も
  重要だけど
  それだけでは飽きるものだから
この、女子会の横で
立ち聞きする
あられもないおっさんの図。
も、自分にとってアウェイな場所まで
遠征するのは刺激になってエエね。
ってことじゃないかと。

じゃあ
読み手ではなく、
メディアの作り手としては
何をどうすればいいのか。
ってそこは……
今から考えますう←

たった3行でエエ話がナンヤソレに変わる、魔法のようなブックレビュー

読了後すぐ

とツイートしたぐらいに
読み応えがあった作品について

3. こんなことを申し上げるべきなのか
2. いや、ダメだ。という葛藤ありつつ
1. 結局書いちゃうんですけど

 値札の横には「ホーランドロップ」と記載されている。きっと人間が品種改良をしたウサギなのだろう。耳をピンと高く張って周囲を警戒する必要のないペット用のウサギだ。
 僕はまたクスリと笑う。このウサギが自らの意志で「何も聞きたくない」と耳を塞いでいるように見えたからだ。
 他のウサギは「いっぱい聞きたい」と躍起に耳を進化させたのに対して、こいつときたら我関せずで鼻をピクピクさせて自分の世界に閉じこもっていやがる。

この「躍起に」って用法に
違和感を覚えるのは私だけですか。
「躍起になって」あるいは「しゃにむに」
じゃないのかなあ?← ×疑問符 ○婉曲表現

形容動詞「躍起だ」の連体形なら「躍起な」だし
名詞「躍起」と格助詞「に」の組み合わせなら
せめて「耳を躍起に進化させた」と
助詞の指すことばが“耳”ではなく
“進化”にかかるようにしなければ
……って、ええい、うるさいね俺


でもねえ しつこいけどね
これ、物語が始まった直後、
2ページ目にあるシーンなんですよ。

気になるじゃないですか。

日本語をどう扱うか、という
極めて趣味的な部分を
どうでもいいわー。
と思っているたぐいの作家なら
失礼しました! って
文字通り敬して遠ざければ済むけど

読んでいけば、すぐにわかることなのですが

たとえば登場人物たちのキャラクターも
既存の類型に拠ることなく
エピソードや会話文を
ていねいに重ねることで
オリジナリティを浮き彫りにしていく、というタイプの
作家だったんですよ?

それに
-安易なフレーズを使いますけど-
北上次郎が2012年ベスト1に推した
作品なんですよ?

たしかに瑕瑾だけど、
それだけに
もったいないと思うんですよね。
ええ、北上次郎なら
「キミはゼイタクだよ」
と一蹴するところですけど。

……たぶん50ページぐらいずーっと
この言い回しが気になってたからなあ。

もうちょっと、こう
作品の細部に
躍起になれなかったものか、と。


でまあ、2013年早々
この作品に出会ったのは収穫でした、
と思ったわけで。
っていまさらホメても遅いですか、そうですか。

私を知らないで (集英社文庫)

私を知らないで (集英社文庫)


ぼくは雑誌が売れないことより新刊が売れないことに興味があったので。

元記事のタイトルが
武田ランダムハウスジャパンの破たんは、出版界崩壊の序章か」
っていうものだったんですが
扇情的なのはいいんだけど
(うん、いいコトバだ「扇情的」)
俺の大嫌いな漢字かな混交が許せなくて
スルーしていたん。です。が。

出版社、書店、取次不況の実態…新刊の7割が返品、コンビニでも雑誌売れない (Business Journal) - Yahoo!ニュース 出版社、書店、取次不況の実態…新刊の7割が返品、コンビニでも雑誌売れない (Business Journal) - Yahoo!ニュース

と、タイトルロンダリングを経て
さらに


興味深い考察も目にしたので
(ちなみに藤谷治のツイートは
 往々にしてセットで読むべきものですので
 まとめておきました↓)
本が売れないということについて(ビジネス的でなく)考える藤谷治 - Togetter 本が売れないということについて(ビジネス的でなく)考える藤谷治 - Togetter
なんか言いたくなりました。
以上前置き。

続きを読む

キャーン・チエホフスキー氏6年ぶりの復活

「姓名は?」と女下士官が訊ねた。
木山捷平
 すると、女士官のそばに控えていた男の兵士が、キャーン・チエホフスキー、と大きな声で叫んで、私の名前を召集台帳に記入した。むろんロシヤ文字でである。ずいぶん桁はずれな誤訳のように思われたが、私は訂正は申込まないで、兵士が書き終るのを待つと、
「生年月日は?」と女士官が訊ねた。
「一九〇四年」
 と、こんどは私の方で気をきかして、西洋紀元に翻訳して答えると、女士官は五尺一寸たらずの私の貧弱な体躯を改めてじろじろ見ていたが、何がおかしいのか、にこっと笑って、
「どうも、御苦労さま、すぐ、お帰りなさい」
 と、流暢な日本語で最後の判定をくだしたのである。
 と同時に、控えの男兵士が「ニエット」と、もう一度大声で叫んで、「落第」のようなしるしを、召集台帳に記入したのである。「ニエット」というのは不合格、または即日帰郷という意であるように思えた。
 で、私は、(ロシヤ語に翻訳すれば、キャーン・チエホフスキー氏になるところの私は)低い鼻の穴をひくひくさせながら、大急ぎで、校門を出た。とはいえ、駆けたりすれば、どんな拍子で風向きが変らないとも限らない。相手は不可侵条約を反故にした現実国のことである。で、なるべく悠然と歩きながら、しかし私は、さすがにソ連の軍部は日本の軍部より人道的であり、明治天皇サマの聖旨にも添っているように思えた。個人的には、どうもあの女士官は、何となく私の気に入って、できることならもう一度ひきかえして、世間話がしてみたいような衝動にかられた。せっかく、汗水たらして覚え込んだロシヤ会話がつかえなかった残念さの、反動だったかもしれない。
     -「耳学問」

このほど講談社文芸文庫が11冊目の
木山捷平作品集(「落葉・回転窓」)を刊行し
巻末解説で岩阪恵子もこれを
「他の作家とくらべても断然多いほうである」
と書いているとおり
実にめでたいことなのですが
愛読者歴も25年を超えると
舅根性というか、老爺心というか
細かいことが気になりまして。

つまり、11冊目と言うものの
巻末の目録には
「白兎|苦いお茶|無門庵」C3
井伏鱒二|弥次郎兵衛|ななかまど」C4
木山捷平全詩集」C5
「鳴るは風鈴」C9
「大陸の細道」C11
「落葉|回転窓」C12
の6タイトルしか掲載されていないんですよ。

まさかと思うけど
「氏神さま|春雨|耳学問」C2
「おじいさんの綴方|河骨|立冬」C6
「下駄にふる雨|月桂樹|赤い靴下」C7
「角帯兵児帯|わが半世記」C7
長春五馬路」C10
この5タイトルは絶版なの?
  C7がふたつあるのは版元の誤植であって
  私の誤記じゃねーす


講談社文芸文庫というレーベルが
立ち上げられた際には
「後世に伝えるべき作品を」
「絶版や品切れにしないため」
お高い価格で販売するんです、というような
大義名分が喧伝されていたので
うっかり信じていたのですが

新刊とあわせたタイミングで
「大陸の細道」が
C11として復刊された様子を見て
あ、つまりC1の「大陸の細道」は
絶版になっていたってことかーーーっ!!!
と気づいてしまったので
11冊目だわーい!
と素直に喜んでばかりもいられないのでした。

なお、C11には
講談社文芸文庫スタンダード」という
名称が付されているようですが
それって今東光の「悪名」が映画化されて
「続悪名」
「新悪名」
「続新悪名」
「第三の悪名」云々と続いたようなものですか、
なんにせよ趣味悪いですね。

さて。
6年ぶりとなる文庫新刊「落葉・回転窓」
冒頭「村の挿話」を
一読して思ったのが


この作者を語る際に
判で押したように使用されるキーワードは
ユーモア
ローカリズム
ヒューマニズム
あたりで

もちろん「村の挿話」には
そのいずれの要素も色濃く刻まれているのですが
もっとも強く印象づけられたのは
そういう“良い系のことば”ではなく

文筆業を営む人間ならではの
太宰治井伏鱒二に甘えて書いたフレーズにもありますが
ああ、この作家は
「悪い人」だなあ、と
いうことでした。

ユーモアには苦みが必要だし
ローカリズムを自覚するには
最低一度は井戸の外に出る必要があろうし
ヒューマニズム(=人間主義)ということばも
(「ヒューマニタリアニズム[=人道主義]」ではない以上)
人間、この素晴らしくもドイヒーにもなり得る生き物、
というフラットな視点がなければならん。

たとえば好々爺然とした写真、
たとえば代表的な詩作「ふるさと」

  五月!
  ふるさとへ帰りたいのう。
  ふるさとに帰って
  わらびとりに行きたいのう。
  わらびとりに行って
  谷川のほとりで
  身内にいっぱい山気を感じながら
  ウンコをたれてみたいのう。
  ウンコをたれながら
  チチッ
  チチッとなく
  山の小鳥がききたいのう。

こうしたイメージから、
愛読者を自認する私ですら
油断すると
  気のいい爺さん。
と単純化してしまいがちですが
そんなもんじゃないよ、
キャーン・チエホフスキー氏ってのは。
という思いをあらたにしたわけです。

多くのひとの目にとまるといいねえ。

落葉・回転窓 木山捷平純情小説選 (講談社文芸文庫)

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